経済産業省は20日、介護施設などで医師以外が巻き爪を予防するため、高齢者の足を手入れする行為などについて、医師法に抵触しないという判断を下した。
産業競争力強化法に基づく「グレーゾーン解消制度」では、事業者が業務への規制の適用の有無を政府に照会することができる。施設に入居する高齢者をめぐっては、足の異常が原因で歩行困難になるケースが発生。そのため、施設の事業者などから、治療の必要がないと医師が判断した足の部位に対して、医師以外が予防的ケアを行うことについて法令上の扱いを明確化するよう要望があがっていた。
今回対象になったのは、「医師でなければ、医業をなしてはならない」という医師法第17条。具体的には、(1)巻き爪や爪の肥厚の予防的ケア、(2)皮膚の乾燥ケア、(3)足部の角質肥厚の予防的ケア、(4)足部の清潔ケア‐といったサービスが法に違反しないかを問い合わせている。
経産省は、規制を所管する厚生労働省と検討した結果、それぞれ(1)軽度のカーブ又は軽度の肥厚を有する爪について、爪切りで切ること及び爪ヤスリでやすりがけすること、(2)下腿と足部に医薬品ではない保湿クリームを塗布すること、(3)軽度の角質の肥厚を有する足部について、グラインダーで角質を除去すること、(4)足浴を実施すること‐については法令違反ではないとした。これによって、高齢者の足部の異常の予防につながるフットケアサービスの導入が進む可能性が期待できるとしている。