東京藝術大学とSOMPOホールディングスが、新たな共同プロジェクトを来年度から本格的にスタートさせる。「芸術 × 福祉」の可能性に改めてフォーカス。双方の知識や有効な組み合わせを学べる講座を開き、ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)に寄与する人材の育成に取り組んでいく。受講を希望する人の募集を30日に開始した。
このプロジェクトは、「Diversity on the Arts Project(DoA:ドア)」と呼ばれている。芸術の「個性を魅力とする価値観」と、福祉の「その人の立場に立って行動する思考」とを結びつけ、新たな価値を創造しようというものだ。
4月から藝大に開設する講座では、高齢者や障害者も含めたあらゆる人を理解・尊重しながら社会参画を促せる人材として、「コミュニケーション・クリエイタ」を育てていく。「様々な異なる背景の人々が共生できる社会をつくり、豊かな文化を育み築いていくために必要な基盤の形成を目指す」という。1年間にわたるカリキュラムには、SOMPOホールディングスの施設で行う「アート・コミュニケーション」の実習や、東京都美術館との連携による講義なども含まれている。
募集要項をみると、出願に必要な条件は厳格に定められていない。高校卒業以上の学歴があるか、そうでなくても大学が認めた学力があれば可能だとされている。応募は履歴書や写真、小論文などを郵送して行う。締め切りは2月22日(当日の消印有効)。費用は検定料が9800円、受講料が18万円。
DoAではこのほか、東京・谷中エリアの古民家を借り上げて改修し、その理念を実践していく拠点とする予定。藝大のスタッフやコミュニケーション・クリエイタが常駐し、子どもから高齢者まで誰でも分け隔てなく出入りできるようにする構想で、地域コミュニティの活性化につなげていくという。