国土交通省は、ネイチャーポジティブ等の世界的潮流を踏まえ、官と民が両輪となり、グリーンインフラをあらゆる分野・場面で実装(ビルトイン)することを目的に、新たに「グリーンインフラ推進戦略2023」を策定した。この戦略では、新たにグリーンインフラの目指す姿(「自然と共生する社会」)や、取組に当たっての視点を示すとともに、官と民が両輪となって、あらゆる分野・場面でグリーンインフラを普及・ビルトインすることを目指し、同省の取組を総合的・体系的に位置づけている。国交省では今後、「グリーンインフラ官民連携プラットフォーム」や経済団体と連携した国民運動を展開していく。
グリーンインフラとは、社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力ある国土・都市・地域づくりを進める取組。国交省では、令和元年にグリーンインフラ推進戦略を策定し、グリーンインフラの普及・推進に取り組んできた。
新たな戦略では、グリーンインフラの意義として、①ネイチャーポジティブ・カーボンニュートラル等への貢献、②社会資本整備やまちづくりの質向上、機能強化、③SDGs、地方創生への貢献をあげた。また、グリーンインフラで目指す姿として「自然と共生する社会」を掲げた上で、①自然の力に支えられ、安全・安心に暮らせる社会、②自然の中で健康・快適にくらし、クリエイティブに楽しく活動できる社会、③自然を通じて、安らぎとつながりが生まれ、子どもたちが健やかに育つ社会、④自然を活かした地域活性化により、豊かさや賑わいのある社会の実現を目指す。
グリーンインフラで目指す「自然と共生する社会」の実現に向けて、グリーンインフラを一層普及させるとともに、これまでの取組の蓄積を踏まえ、あらゆる場面・分野に本格的にグリーンインフラをビルトインしていくことを求めた。
その際には、連携、コミュニティ、技術、評価、資金調達、グローバル、デジタルといった7つの視点を踏まえて取り組むことを求めた。
「自然と共生する社会」の実現に向けた取組について、自然の力に支えられ、安全・安心に暮らせる社会の実現に向けた取組として、自然環境が有する機能を活用した流域治水の推進、都市緑化や都市公園整備等による吸収源対策等をあげた。
自然の中で健康・快適に暮らし、クリエイティブに楽しく活動できる社会の実現に向けた取組では、「居心地が良く歩きたくなる」まちなかづくり、自然豊かな都市空間づくりや環境性能に配慮した不動産投資市場の形成等をあげた。
自然を通じて、安らぎとつながりが生まれ、子どもたちが健やかに育つ社会の実現に向けた取組では、環境教育の推進、自然豊かな学び場の確保等をあげた。
自然を活かした地域活性化により、豊かさや賑わいのある社会の実現に向けた取組では、景観・歴史まちづくりの推進等をあげている。
このほか、「グリーンインフラのビルトイン」に関する横断的・基盤的取組として、産学官金の多様な主体の取組の促進、実用的な評価・認証手法の構築、新技術の開発・活用の促進、支援の充実を行うこととした。