ストレスによる胃腸炎や突然死などのメカニズムを、北海道大学の村上正晃教授らのチームが解明した。研究成果は、オンライン専門誌「eLIFE」の15日付に掲載された。
研究グループは、マウスを睡眠不足にさせたり、地面が湿ったケージで飼ったりすることで慢性的なストレスかけたうえ、自己免疫疾患を引き起こす細胞を血管から移植。その結果、1週間ほどで約7割のマウスは、通常の症状である尾部や後肢の麻痺を起こさず突然死した。一方、ストレスを与えただけのマウスや細胞を移植しただけのマウスは死ななかった。
突然死の原因は、胃や十二指腸の炎症による出血が引き金となって、心臓の機能が低下したこと。マウスを調べたところ、脳内のストレス中枢が活性化し、自己免疫疾患を引き起こす細胞が脳の特定の血管に集まってわずかな炎症を起こすことを確認した。この炎症は、新たな神経回路を活性化させ、消化器官や新機能の低下を引き起こすことも判明している。
今回の研究によって、脳内のわずかな炎症を防ぐことが、ストレス性疾患の根本的な治療につながるとされている。さらに、実験で使われた細胞の有無を血液検査で調べることにより、ストレス性疾患や突然死へのなりやすさを予測できる可能性があるという。