国土交通省北海道局では、苫小牧東部地域の開発について、令和元年以降のおおむね10年間の段階的な開発の方向性を検討するため、平成30年度に外部有識者による苫小牧東部地域開発検討会を開催し、検討を進めてきたところで、このほど、検討会の意見を踏まえた「苫小牧東部開発審計画の進め方【第3期】」を策定した。この中で、「物流」、「エネルギー」、「情報」の優位性を柱として、多様な産業の集積だけでなく、社会的課題解決に資することを視野に、新たな食関連産業の創出、再生可能エネルギーの活用、自動走行・ロボット・ドローンの実証試験の誘致、災害時の拠点形成などを展開するといった開発の方向性を示している。
第3期の進め方では、基本的方針として、同地域の役割を策定。日本と世界に貢献できる国際競争力のある基盤づくり、地域的・社会的課題の解決に資するフィールド、成長期待産業等の育成及び条件整備、北海道内外における災害に対する応急・復旧対策の拠点機能を掲げた。
また、今後取り組む産業・プロジェクト及び周辺環境整備について、「物流」、「エネルギー」、「情報」の優位性を重視した産業・プロジェクトの誘致をあげ、重視する要素として、地域産業の持続的発展、環境への配慮、人材不足・省力化をあげた。
展開方向としては、苫東地域の優位性等をいかした競争力の強化、既存の産業集積を生かした新たな食関連産業の創出、高齢化社会や担い手不足に対応した研究開発、強靭な国土づくりに貢献する拠点の形成、基盤整備をあげている。
このうち、苫東地域の優位性等をいかした競争力の強化では、優位性(物流、エネルギー、情報)の強化、弾力的・機動的な土地の有効活用、北極海航路のアクセスポイントとしての優位性検討を求めている。
既存の産業集積をいかした新たな食関連産業の創出では、道外や国外に向けた道産品の付加価値を高める健康食品、漢方・医薬品関連産業が必要とした。
環境との共生・エネルギーの有効活用による産業展開では、再生可能エネルギー関連産業(水素・燃料電池、地熱、バイオマス)が重要としている。
高齢化社会や担い手不足に対応した研究開発では、積雪寒冷地での自動走行、ロボット・ドローンの実証実験等を求めた。
強靱な国土づくりに貢献する拠点の形成では、道内外との交通アクセスの利便性をいかした災害時の拠点形成(人員や資機材の派遣・受け入れ)、物流ルートの代替性確保が必要とした。
基盤整備では、港湾、道路、情報通信インフラ、上下水道、廃棄物処理施設等の苫東開発の展開に応じた整備、地震防災対策等の推進を求めた。
展開に当たっての留意事項としては、外資系・外国企業も視野に誘致方策を展開、環境への取組を重視する企業へのインセンティブの創出、ロボット等の活用による省力化に対応した人材育成、安定的な人材確保をあげている。
「進め方」の実施においては、関係機関の連携の一層の強化、社会経済状況の変化に応じた弾力的・機動的な対応、新たな展開が見込まれる産業・プロジェクトの推進・フォローを求めている。