日本財団が行った18歳から20歳を対象とする意識調査によると、将来子どもを持ちたいと若者の6割が考えている一方で、現実的に子どもを持つと思っているのは男女とも4割台に留まっていることが明らかとなった。子どもを持てない理由として最も多くの若者があげたのは、「金銭的な負担」と「仕事の両立」。少子化克服には、こうした課題を克服する必要があることがあらためて浮き彫りとなった。
調査では、「将来結婚をしたいか」、または「実際に結婚をすると思うか」という問いを若者に投げかけた。将来結婚をしたいと回答した者は男女とも4割を超えているが、実際に将来結婚を「必ずすると思う」と答えたのは男性で2割弱、女性では1割弱。希望と実際には差が生じていると考えている若者が一定数いると推測される。さらに、男性は、〝結婚をしたい〟、もしくは〝将来結婚する思う〟ということは「考えたことがない」と回答した者が1割強存在し、1割未満だった女性よりも割合が高いことも明らかとなった。
将来結婚すると思う若者に理由を聞いたところ、男女とも「好きな人と一緒にいたいから」がトップ回答。「自分の家庭を持ちたい」「子どもを育てたい」「経済的に安定する」などの選択肢は、特に女性に多く選ばれた。
男女別では、「好きな人と一緒にいたい」「家庭を持ちたい」「子どもを育てたい」のトップ3は男女共通であったものの、4位以下は同じ項目でも男女で微妙に順位が異なった。例えば、男性で4位であった「精神的に安定する」は、女性は5位となり、「経済的な安定」は男性5位、女性4位という結果となった。「恋人・パートナーが結婚を希望している」は男性6位、女性7位、「親や親せきを安心させたい」は男性7位、女性6位。
将来結婚しないと思うと答えた理由としては、男性は「恋人・パートナーがいない/みつからない」が最多で、女性でもこの理由が第2位となった。女性のトップは「一人でいる方が精神的な負担が少ないから」で、「自由を失いたくない」「子どもを育てたいと思っていない」も男性より多い。
将来子どもを持ちたいか、または実際に持つと思うかという質問に対しては、男性の6割強、女性の6割弱が「将来子どもを持ちたい」と答えた。他方、実際には将来子どもを持つと思うかということについては、「持つと思う」が男女とも4割台に留まっている。女性は「将来子どもを持ちたくない」と回答した人が3割弱存在する。
将来子供を持つ上での障壁としては、男女とも「金銭的な負担」と「仕事の両立」がトップ。女性は「時間的な負担」以外の全ての項目(精神的な負担、身体的な負担等)で男性を上回った。
日本の出生数は2020年に84万人となり、過去最少を記録する一方655歳人口は28.9%で、増加傾向にある。こうした状況に対する考えを若者に聞いたところ、少子高齢化に危機感を感じているとの回答割合は、男女とも7割を超えている。また、少子高齢化に対する政府の対応に関しては、「不十分である」と回答した者が男女とも約8割を占めた。
実施してほしい少子化対策としては、男女とも「教育の無償化」がトップで、「子育て世代への手当・補助金の拡充」が第2位。少子化の背景には経済的な理由があると多くの若者が考えていることが浮き彫りとなった。
また、少子化対策のための財源確保方法に関しては、「法人税率を上げる」「年金関連支出を減らす」「国際協力関連支出を減らす」が上位となった。