厚生労働省は6日、自宅で亡くなった人が死亡者全体に占める割合を市区町村ごとにまとめたデータを公表した。人口が5万人以上20万人未満の中規模な自治体では、最大で4.65倍の格差が生じていることなどが明らかになった。
市区町村の規模別にみると、人口5万人以上20万人未満で「在宅死」の割合が最も高かったのは、兵庫県豊岡市の25.6%。次いで、東京都中央区の21.5%、千葉県浦安市の20.5%と続いている。逆に最も低かったのは、愛知県蒲郡市の5.5%。2番目は佐賀県武雄市の5.7%、3番目は群馬県沼田市の6.4%となっている。
■ 人口20万人以上では最大2.86倍
人口20万人以上の都市では、神奈川県横須賀市の22.9%が最高。最低は鹿児島県鹿児島市の8.0%で、両者の開きは2.86倍だった。
各地の「在宅死」の割合には、サービスの充実度が影響している可能性がある。例えば、夜間も含めて往診を行う「在宅療養支援診療所」の無い市区町村(493ヵ所)の76.3%は、「在宅死」の割合が平均以下にとどまっていた。
もっとも、このデータの「在宅死」は、医師がそれぞれの自宅で死亡確認をしたケースを指しており、急性の心疾患や孤独死なども含まれる。必ずしも本人が望んだものだけではない。また、介護の基盤も含めて市区町村ごとの環境には異なる要素が少なくない。
厚労省の担当者は、「『在宅死』の実情や医療・介護資源との因果関係にはわからないことが多い。これから詳しく分析していく。在宅医療の推進に向けた施策の立案に役立てていきたい」と話した。今後、6日に始動させた「全国在宅医療会議」でも詳しい議論を進める考えだ。