2018年7月17日 「世界一空気のきれいな地下鉄」志向 慶大が新規空気清浄技術開発へ産学連携事業を開始

慶應義塾大学理工学部とマン・ウント・フンメル・ジャパン(株)(M+H社)は、公益財団法人横浜企業経営支援財団(IDEC横浜)とともに、〝世界一空気のきれいな地下鉄〟を目指した取り組みを開始した。慶應義塾先端科学技術研究センター(KLL)指定研究プロジェクトに採択された産学連携プロジェクトとして、慶應大が持つ独自の粒子帯電に関する知見と、M+H社が有する最新のフィルトレーションテクノロジーを融合させ、地下鉄の車両やブレーキ等から発生するダストを除去する、これまでにない新技術の開発を目指すもの。

プロジェクトの第1段階は、我が国の都市域での重要な交通インフラで、人々の生活環境に大きな影響を与える地下鉄の駅構内で、健康に影響を与えているとされている微小粒子状物質PM2.5をはじめとする粒子状物質の挙動解析を行います。1回目の実地調査は今月中旬に行われる。

 

   行われてこなかった地下鉄の空気汚染調査

わが国の都市域で極めて重要な交通インフラである地下鉄は、多くの人々の生活手段として欠かせないもの。しかし地下鉄構内および車内は閉鎖空間であり、その空気の汚染状況が懸念されている一方で、これまで地下鉄空気質の実態については系統的な調査が行われてこなかった。

このような背景をふまえ、慶應義塾大学理工学部の奥田知明准教授と、横浜市に本社を置くM+H社はIDEC横浜とともに、〝世界一空気のきれいな地下鉄〟を目指した取り組みを開始した。

慶應義塾先端科学技術研究センター(KLL)指定研究プロジェクトに採択されたこの産学連携プロジェクトは、慶應義塾大が持つブレーキダストの帯電に関する知見と、M+H社が持つフィルトレーションテクノロジーを融合させ、地下鉄の車両やブレーキ等から発生するダストを除去する新技術の開発を目指す。

プロジェクトの第1段階として、地下鉄構内におけるPM2.5をはじめとする粒子状物質(PM)の挙動解析を行うための実地調査を、7月に実施する。第2段階としてはIoTを活用したリアルタイムでのPM計測、さらに第3段階としてPM除去技術の実証実験へと進む計画。

 

   海外展開も視野に

将来的には、大都市の生活空間である地下鉄構内の空気品質の知見および革新的な粒子状物質の除去処理技術を活かし、大都市交通における快適な生活環境の提供を実現することを目指す。これにより、直接的な利用者への貢献だけでなく、〝世界一きれいな空気〟を交通機関のブランドとして確立することで、横浜市だけでなく、海外展開を見据えた日本全体のブランド力向上につながることが期待される。


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