ヤマト運輸とDeNAが17日、自動運転による次世代物流サービスの実現に向けたプロジェクト「ロボネコヤマト」の実証実験を、国家戦略特区の神奈川県藤沢市で開始した。無人での配送や買い物代行などのテストを来年3月末まで行う。ヤマト運輸の阿波誠一常務執行役員は16日の会見で、「高齢化が進んで自分ではなかなか買い物に行けない人も増えてきた。どのような使われ方をされるか検証したい」と説明。ドライバー不足の解消やコストの削減に加えて、買い物弱者のサポートにもつなげていく意向を示した。
鵠沼海岸や辻堂東海岸、本鵠沼などのエリアで実施される。同地区には、3万人・1万2000世帯が住む。サービスでは、車内に保管ボックスを設置した専用の電気自動車3台を使用。無人配送「ロボネコデリバリー」は無料。10分単位で時間を指定でき、到着3分前にスマートフォンに通知が来る。受け取る場所はエリア内ならどこでもよい。到着した車のパネルに暗証番号を入力するかQRコードをかざせば、ロックされている収納庫が開いて荷物を回収できる。「動く宅配ボックス」のイメージだ。阿波常務執行役員は会見で、「外で待ち合わせをする感覚で荷物を受け取ることも可能」と解説した。今回の実証実験では、受け取りに関わらない運転手が安全のために乗車するという。
買い物代行サービス「ロボネコストア」では、ネット上の仮想モールで販売した品物を指定された時間・場所に届ける。仮想モールには地元の商店街などから24店舗が参加する予定。当初は12店舗からスタートし、徐々に店の数を増やしていくという。冷蔵・冷凍品にも対応する。受け取りの方法は同じだ。配送料は買い物の総額が3000円以上なら無料で、3000円未満なら324円(税込み)となる。介護職員など本人を支える第三者が受け取る仕組みも検討していく。
■ 政府「強力にバックアップ」
DeNAの中島宏執行役員は、「最終的には完全に無人のオペレーションを目指す。過疎地や労働力がひっ迫した地域でも役立つサービスにしていきたい」と前を向いた。政府や自治体の期待も大きい。16日の会見には内閣府の松本洋平副大臣や根本幸典政務官、神奈川県の黒岩祐治知事なども出席。松本副大臣は、「非常に有意義な挑戦。必要な規制・制度の改革などを通じて強力にバックアップしていく」と述べた。政府は2020年までの移動弱者の解消を目標としており、その達成に寄与する重要な取り組みと位置づけている。