文部科学省が取りまとめた令和4年度「学術情報基盤実態調査」によると、令和3年度の図書館資料費は705億円で、前年度より1億円減少。そのうち、紙媒体の資料に係る経費は231億円で、前年度より10億円減少した。また、電子媒体の資料(電子ジャーナルと電子書籍の合計)に係る経費は357億円で、前年度より3億円増加した。オープンアクセスポリシーを策定している大学は140大学(17.3%)だった。
学内ネットワークを有する811大学のうち、通信速度10Gbps以上の回線を整備している大学は352大学(43.4%)となり、前年度より40大学増加。また、対外接続を行っている811大学のうち、通信速度10Gbps以上の回線を整備している大学は301大学(37.1%)となり、前年度より65大学増加した。研究データポリシーを策定している大学は207大学(25.5%)。
この調査は、国公私立大学図書館やコンピュータ・ネットワーク環境の現状を明らかにし、その改善・充実への基礎資料とするため、文科省が平成17年度から実施している。
《大学図書館編》
1)図書館資料費及び図書館運営費
令和3年度の図書館資料費は705億円であり、前年度より1億円(0.1%)減少した。また、図書館運営費(人件費等を含めたもの)は765億円であり、前年度より1億円(0.1%)減少した。
2)図書館資料費の内訳
令和3年度の図書館資料費のうち、紙媒体の資料(図書と雑誌の合計)に係る経費は231億円であり、前年度より10億円(4.1%)減少した。また、電子媒体の資料(電子ジャーナルと電子書籍の合計)に係る経費は357億円であり、前年度より3億円(0.8%)増加した。
3)電子ジャーナル経費と利用可能タイトル数
令和3年度の電子ジャーナルに係る経費は329億円であり、前年度より3億円(0.9%)増加した。また、大学図書館で閲覧可能な国外の出版社から購入した電子ジャーナルタイトル数は147万タイトルであり、前年度より8万タイトル(5.8%)増加した。
アグリゲータ(複数の出版社が刊行する電子ジャーナルをまとめて提供する仲介者)をはじめとした国外の出版社以外(その他国外)から購入した電子ジャーナルタイトル数は419万タイトルであり、前年度より19万タイトル(5.0%)増加した。
4)電子書籍経費と利用可能タイトル数
令和3年度の電子書籍に係る経費は28億円であり、前年度より1億円(3.4%)減少した。また、大学図書館で閲覧可能な電子書籍のタイトル数は1081万タイトルであり、前年度より78万タイトル(7.8%)増加した。そのうち、国内の出版社から購入した電子書籍タイトル数は127万タイトルであり、前年度より30万タイトル(30.9%)増加した。
また、国外の出版社から購入した電子書籍タイトル数は954万タイトルであり、前年度より48万タイトル(5.3%)増加した。
5)オープンアクセスポリシーの策定状況
オープンアクセスポリシー(自大学の研究成果等のコンテンツを、オープンアクセスにすることについて定め、明文化した方針)を策定している大学は140大学(17.3%)であった。
《コンピュータ及びネットワーク編》
1)学内ネットワーク(学内LAN)の整備
学内ネットワーク(学内LAN)を有する811大学のうち、通信速度10Gbps以上の回線を整備している大学は352大学(43.4%)である。
また、対外接続を行っている811大学のうち、通信速度10Gbps以上の回線を整備している大学は301大学(37.1%)。
2)情報リテラシー教育の状況
情報リテラシー教育を実施している大学は790大学(97.4%)であり、未実施の21大学(2.6%)のうち、私立大学が18大学(85.7%)を占める。全学生を対象に実施している大学において、「情報セキュリティ」、「倫理・マナー」を取り上げている大学は、それぞれ563大学(71.3%)、591大学(74.8%)であり、平成29年度と比べてそれぞれ3.1ポイント、2.1ポイント上昇している。
3)研究データポリシーの策定状況
研究データポリシー(研究データの管理と利活用について、組織として策定した方針)策定済みの大学は207大学(25.5%)。
4)クラウドの運用状況
情報システムをクラウド化(全部または一部を学内の情報センター等または学外の施設に集約・共有化し、効率的に運用)している大学は768大学(94.7%)であり、前年度より1.5ポイント上昇している。
用途としては管理運営基盤が最も多く、クラウド導入大学のうち730大学(95.1%)がこの用途で利用している。