2022年6月27日 【鳥取大】胎児期のカドミウムばく露が子どもの発達に与える影響を調査

■ポイント□

〇妊娠中に採取した母親の血液中のカドミウム濃度と6ヵ月時点から3歳時点までの子どもの発達(ASQ-3)との関連を調査

〇妊娠中の母親の血中カドミウム濃度と子どもの6ヵ月時点から1歳半時点までの発達の遅れとの間に関連がみられた。

〇その関連は2歳以降、3歳までの発達では観察されなかった

 

鳥取大学医学部の増本助教らの研究チームは、国立研究開発法人国立環境研究所と共同で、エコチル調査の約10万人のデータを用い、胎児期のカドミウムばく露と3歳までの子どもの発達の関連について解析した。その結果、6ヵ月時点から1歳半時点までの子どもの発達の遅れとの関連がみられた。しかし、遅れていた子どもでも2歳以降では発達の遅れがみられなくなり、関連は消失した。

子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)は、胎児期から小児期にかけての化学物質ばく露が子どもの健康に与える影響を明らかにするために、平成22(2010)年度から全国で約10万組の親子を対象として環境省が開始した、大規模かつ長期にわたる出生コホート調査。臍帯血、血液、尿、母乳、乳歯等の生体試料を採取し保存・分析するとともに、追跡調査を行い、子どもの健康と化学物質等の環境要因との関係を明らかにしている。

エコチル調査は、国立環境研究所に研究の中心機関としてコアセンターを、国立成育医療研究センターに医学的支援のためのメディカルサポートセンターを、また、日本の各地域で調査を行うために公募で選定された15の大学等に地域の調査の拠点となるユニットセンターを設置し、環境省と共に各関係機関が協働して実施している。

 カドミウムは自然界にありふれている重金属元素。日本人にとっては、イタイイタイ病の原因となった重金属元素として知られている。現在の日本人の血中カドミウム濃度はイタイイタイ病を起こす濃度よりはるかに低いが、血中カドミウム濃度が低い場合でもヒトの健康に影響を与える可能性がある。

ここ数年、動物実験にてカドミウムばく露が神経の発達に影響を与えることが報告されている。しかし、人間に対して、カドミウムばく露が神経発達にどのような影響を与えるのかはよく分かっていない。そこで、増本助教らの研究では、エコチル調査のデータを用いて、胎児期のカドミウムばく露と3歳までの発達との関連について、疫学的手法を用いて調べることにした。


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