2022年5月31日 【筑波大】ノリが良いリズムに親和性が高い人はリズムを聴くだけで脳の実行機能が高まる

■ポイント□

〇初のGRによる前頭前野刺激効果を確認

〇誰もが取り組める運動プログラムの開発が急務

〇脳機能の向上効果引き出し提案に期待

 

ノリの良い音楽を聴くと、ヒトは楽しさや興奮が増し、リズムに合わせて思わず身体を揺らしてしまう。リズムを聴いて身体を動かしたくなるこの感覚は、グルーヴ感と呼ばれている。

有酸素運動は、軽い強度であっても脳の前頭前野背外側部(DLPFC)を刺激し、実行機能(注意・集中・判断など)を高める。筑波大学研究チームは最近、運動に好きな音楽に合わせることでポジティブな気分が高まると、その効果が高まることを見出した。また、グルーヴ感は運動と相性が良いため、運動の楽しさや脳への有益性をより引き出せるのではないかと注目し、研究を続けてきた。

研究では、グルーヴ感を引き起こすリズム(グルーヴリズム、GR)に対する親和性が高い人は、GRを聴くだけで、運動をせずとも前頭前野が刺激され、実行機能が高まることを見いだした。

研究対象としたのは18~26歳の健康な男女51人。グルーヴ感がもたらされやすいとされるドラム音楽をGRとして用い、前頭前野機能への効果を検証した。その結果、対象者の中でもGRを聴いてグルーヴ感とポジティブな心理状態が共に大きく高まったグループでは、実行機能と左DLPFCの刺激効果が有意に高まることが分かった。さらに、この効果は、被験者全体でみてもグルーヴ感とポジティブな心理状態が高まるほど大きくなる関係にあった。GRが前頭前野を刺激し実行機能を高める効果が明らかとなったのは、今回が初めて。

運動を継続するのは至難の技。わが国でも運動習慣者の割合は3割弱とされており、誰もが自然に取り組める運動プログラムの開発が急務となっている。研究成果に基づき、グルーヴリズムに合わせた運動の効果検証を行うことで、脳機能の向上効果をより引き出す豊かな運動環境の提案につながることが期待される。


株式会社官庁通信社
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-13-14
--総務部--TEL 03-3251-5751 FAX 03-3251-5753
--編集部--TEL 03-3251-5755 FAX 03-3251-5754

Copyright 株式会社官庁通信社 All Rights Reserved.