2022年8月9日 CO2排出量削減と茶葉の品質向上を目指す バイオ炭を活用した土壌の炭素貯留に関する実証試験

中部電力(株)、遠州夢咲農業協同組合、(国研)農業・食品産業技術総合研究機構の3者は、7月12日に、JA遠州夢咲の生産茶園において、バイオ炭を活用した土壌の炭素貯留に関する実証試験を開始した。

農作物の栽培管理や収穫の過程では、枝葉やもみ殻などの植物性廃棄物が発生する。これらは農地の敷き材等として有効利用されるほかは、土壌に混ぜられ処分されることが一般的であり、土中の微生物に分解されることで、生育中に吸収していた二酸化炭素が大気中に放出される。

しかし、こうした植物性廃棄物は「バイオ炭」と呼ばれる炭化状態にすることで、土壌に混ぜ合わせても微生物に分解されにくくなり、炭素が長期間貯留され、二酸化炭素の放出が抑制されることが知られている。また、バイオ炭には、農地土壌の環境を改良する効果もあり、以前から農作物の生産に利用されてきた。

そこで3者は、こうした特性に着目し、今月から2025年9月までを期間に、JA遠州夢咲の生産茶園2地点(静岡県菊川市、御前崎市)の土壌に、もみ殻由来のバイオ炭を混ぜ合わせ、二酸化炭素の排出削減効果を評価するとともに、茶園の品質向上効果を実証する。この実証を通して、地域農業における脱炭素化と農業生産向上の両立を目指していく考えだ。

 

「バイオ炭」の特徴

「バイオ炭」は、植物性廃棄物等を酸素の少ない状態で蒸し焼きにして炭化させたもの。炭化させることで、土壌に混ぜ合わせても微生物に分解されにくくなり、炭素を長期間貯留することができる。多孔質構造であり、内部に多量の空気を含有するため、土壌に混ぜ合わせることで土壌内に小さな空間が多数生じ、農作物の根の生育促進や肥料成分の吸収量の増加等が期待できる。

 

実証試験の概要

実証試験は、2022年7月から2025年9月までの期間、JA遠州夢咲の生産茶園2地点(静岡県菊川市、御前崎市)で行われる。

具体的には、バイオ炭を複数のパターン(10アールあたり100kg~500kg)で茶園土壌に混ぜ込むことによる二酸化炭素の排出削減効果の評価や、茶の生育・品質に与える効果・影響を実証するとしている(土壌に混ぜ込まない場合との比較も実施)。

この実証試験の中で、中部電力は「使用するバイオ炭やバイオ炭を混ぜ合わせた茶園土壌の分析」など、JA遠州夢咲は「実証を行う茶園の選定、茶葉の品質向上効果の実証」など、農研機構は「二酸化炭素の排出削減効果の評価、茶葉の品質向上効果の実証」などを担当する。

 

画像:プレスリリースより


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