4人に1人が「本気で自殺を考えた」ことがある―。日本財団が行った調査で、こうした現状が明らかとなった。自殺未遂経験者は6.2%で、自殺を考えた者と自殺未遂者ともに、15歳~20代のリスクが高いという。
自殺を考えた理由、トップは家庭問題
調査によると、「本気で自殺をしたい」と考えたことがあるのは24%で、4人に1人が自殺することが現実に頭をよぎったという。このうち約3割に相当する27.7%(回答者全体の6.4%)が1年以内に自殺念慮がある。
本気で自殺をしたいと回答した者に理由と複数回答可で聞いたところ、「家庭問題」が最多で45.2%にのぼった。また、「健康問題」(39.4%)、「経済生活問題」(31.7%)、「勤務問題」(31.7%)も上位を占めた。「学校問題」は25.8%となった。
1年以内に自殺を考えたことがあるとの回答者に絞ると、「健康問題」が54.9%で最も多く、次いで53.1%の「家庭問題」、45.4%の「経済生活問題」と続く。
実際に自殺行為に至った自殺未遂経験者は、6.2%で、このうち29.4%(全体の2.1%)が1年以内の自殺未遂経験があるという。原因としては、こちらも健康問題、家庭問題、経済生活問題が多い。
目立つ16歳女子の自殺未遂者
自殺念慮と自殺未遂ともに、15歳から20歳代のリスクが高いことも、調査で浮き彫りとなった。1年以内に自殺念慮があったと答えたのは、15歳から19歳は15.8%、20代は14.0%にのぼった。一方で、30代は10.0%、40代は6.2%、50代は4.4%、60代以上は1.6%。
1年以内の自殺未遂者は、30代3.1%、40代1.9%等に対し、15歳~19歳が4.9%、20代は5.7%と高い傾向にあることが浮き彫りとなった。特に16歳女子は10.6と際立って高い。15歳女子が0%であったことから、高校入学時から何らかの対応を行う必要性があるとみられる。
1年以内に自殺念慮があった層のコロナ禍でのストレスに関しても調査した。特に強く感じたストレスとしては、「うつ病いった精神的健康問題の症状悪化」や「同居する家族から感情的な暴言を吐かれること」といった声が寄せられた。また、「経済的に苦しく、家賃や光熱水費、食費などの生活費が工面できないこと」「就職/転職活動が困難であること」「睡眠が十分とれていないこと」なども、感じているストレスとしてあがった。
「先生に相談」は1%未満
自殺したいと思ったときや、自殺未遂をしたときに「誰かが相談したか」と聞いたところ、7割が誰にも相談していないと回答した。また、相談した3割が相談したのは、両親や祖父母が最も多く8.4%で、次いで配偶者6.0%。医師・医療機関は4.7%、学校の友人3.7%、カウンセラー・相談員3.5%。学校教員は0.9%だった。
自殺を思いとどまる理由としては、「家族や恋人が悲しむことを考えて」「我慢して」が24.4%、23.1%と多かった。このほか、「自殺を試みたが死にきれなかった」「将来を楽観的に考えるようになって」がそれぞれ約1割。一方で、「まだ〝思いとどまった〟とは言えない」との回答も11.3%と一定数存在する。
さらに、若い年代は自殺に関する報道に影響を受けやすい傾向にあることも、明らかとなった。著名人の自殺に関するニュースや記事を見た後に、「自殺を繰り返したことがある」「自分も自殺すれば楽になれると感じることがある」割合は15歳~19歳と20代で多かった。反対に、自殺を考えていた人が自殺を思いとどまった記事やニュースを見た際にも、「自分もその人のように生きようと考えたことがある」「自殺せずに生きていてよいのではないかと感じることがある」との回答も多かった。