2022年5月11日 20年度のがん検診、前年度から2割減 コロナの受診控えで、高齢者は顕著な傾向

日本対がん協会は4月28日、グループの支部が2020年度に行ったがん検診の受診者数が、前年度から約2割減ったことを公表した。がんの発見数も2割から3割減少。どちらも60歳以上で顕著な傾向を示していた。協会は新型コロナウイルス感染症による受診控えが背景にあるとしつつも、がんが治る可能性を高める早期発見にはがん検診が有効だとして、「コロナ禍でもがん検診は必要だ」と訴えている。

調査は支部のある46道府県のうち、神奈川県、静岡県、岐阜県、大阪府を除く42支部で、2020年度に自治体や事業所などから委託された住民検診、職域検診、人間ドックなどを対象に実施。5つのがん検診(胃、肺、大腸、乳、子宮頸)の受診者数は、延べ826万4591人で、前年度の1009万794人から18%減少していた。部位別では、乳がんが95万943人で22%減、肺がんは256万68人で20%減、子宮頸がんは99万7192人で20%減、胃がんは155万6765人で18%減、大腸がんは219万9623人で14%減となっている。

受診者数の推移を年齢別にみると、60歳未満は10%前後の減少だったが、60歳以上では減少率が20%~30%に拡大。特に、胃がんや肺がん、大腸がんといった各検診ではその傾向が顕著に表れていた。さらに、乳がん検診は全年齢で20%~30%減少し、高齢になるにつれて減少幅が大きくなっている。

がんの発見数も2020年度は前年度に比べて20%~30%減少した。がん検診で受診者数の減少が顕著だった胃がんや肺がん、大腸がんは、高齢になるにつれて発見数も増加。このことから協会は、高齢者の受診者数の減少が、がん発見数の減少に影響していると考えている。

 

■住民検診が減少 職域検診は影響受けず  

また、検診ごとにみると、住民検診が胃や肺、乳、子宮頚で20%台後半の減少率となった一方、職域検診は胃や肺、大腸の受診者数が増えた。住民検診は高齢者の受診が多く、新型コロナの感染リスクが高い高齢者が受診を控えたと推測。職域検診は労働安全衛生法で事業所に義務づけられている従業員の健康診断と併せて実施するケースが多く、新型コロナの影響を受けにくかったと推察される。加えてグループ支部の検診は集団検診が多く、感染リスクの「密」を避けるため、個別検診へ移ったことも受診者減の背景にあると考えられるという。

 

日本がん協会のリリースより引用


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