訪問介護の2022年度の経営状況を明らかにする福祉医療機構(WAM)の最新の調査レポート − 。全体の42.8%の事業所が赤字だったと報告されたが、個々の厳しい経営状況を詳しく分析した結果もまとめられている。
それによると、同一建物減算の適用の有無で事業所の経営状況に違いがあった。
営利法人の赤字事業所の割合をみると、減算なしが35.2%、減算ありが22.1%。減算ありの方が13.1ポイント低かった。
特にサービスの提供回数に大きな差がある。減算ありの事業所は減算なしの事業所より、1ヵ月あたりの提供回数や利用者1人あたりの提供回数が2倍以上多かった。
減算ありの事業所は収入単価が低いものの、特定事業所加算Ⅰの算定割合は相対的に高い。減算ありの事業所の事業収入は、減算なしの事業所の2.2倍となっていた。
この調査はWAMの貸付先が対象。事業者の2022年度決算などをもとに訪問介護の経営状況を分析したものだ。
黒字事業所と赤字事業所を比較してみても、大きく異なるのはサービスの提供回数だった。黒字事業所は提供回数が多く、職員1人あたりの事業収入も多い。WAMは営利法人の黒字事業所について、「単価の低いサービスを数多く実施するところが多い傾向にある」と指摘した。
厚生労働省は今年度の介護報酬改定で、給付費の適正化に向けて訪問介護の同一建物減算を拡充した。事業所の足元の経営状況には、こうした施策の影響も及んでいる可能性がある。