福祉医療機構(WAM)は9日、介護保険の訪問介護の経営状況を明らかにする調査レポートを新たに公表した。
それによると、2022年度の赤字事業所の割合は42.8%。前年度の40.1%から更に2.7ポイント悪化した。訪問介護の事業運営の厳しさが改めて浮き彫りになった格好だ。
訪問介護をめぐっては、今年度の介護報酬改定で基本報酬が引き下げられた経緯がある。WAMはレポートで改定に触れ、「経営への打撃が懸念される」と指摘した。
国は処遇改善加算の拡充、特定事業所加算や認知症専門ケア加算の見直し、口腔連携強化加算の新設といった施策も併せて講じたが、どこまで活かされるかはまだ不透明。訪問介護は足元で事業者の倒産件数も増えており、このままでは地域のサービス提供体制の綻びが一段と深刻化する、と心配する声が出ている。
この調査はWAMの貸付先が対象。事業者の2022年度決算などをもとに、訪問介護の経営状況を分析した結果が報告されている。
そのレポートによると、2022年度は物価高騰などで経費率が前年度から1.3ポイント上昇。赤字事業所が増えた要因の1つとなった。