海外としては過去最多のメダル獲得数となるなど、日本国民を連日熱狂させたパリオリンピック。約2週間の会期中32競技329種目が実施されたが、産業能率大学が行った調査によると、視聴・観戦率が最も高かったのは、バレーボール男子で、卓球女子団体が2位、体操男子団体総合が3位という結果となった。
産能大の調査では、329種目に開会式・閉会式を加えた331項目を提示し、「視聴・観戦した種目・式典」をすべて選択してもらった。そのうえで、「リアルタイムで視聴した種目・式典」に限定、さらに「視聴してよかった種目・式典」を選択してもらうアンケートを行った。
調査のひとつ「視聴・観戦率」はバレーボール男子、卓球女子団体、体操男子団体がトップ3となり、以下、卓球女子シングルス、柔道男子66キロ級、バレーボール女子、陸上女子やり投げ、バスケットボール、開会式、柔道女子48キロ級が続いた。
この調査では、日本代表がメダルを獲得した種目のニュースやハイライト番組で繰り返し放送されるため、値が大きくなる傾向があるという。
産能大では、この調査結果について「性差」が顕著な点を、〝興味深い〟トピックとしてあげた。男性では28.8%と最も観戦率を誇る高いサッカー男子だが、女性は11.8%で36位と2分の1以下という結果。同じく男性6位(24.1%)のゴルフ男子も、女性は23位(16.2%)。逆に女性の方が男性よりも観戦率が高い種目としては、スケートボードがある。女性では5位(26.0%)の「男子ストリート」が男性では21位(16.2%)、8位の「女子ストリート」が男性では22位(16.0%)となった。
リアルタイム観戦多い「五輪の華」
ライブ観戦率は、繰り返し視聴が比率を押し上げることを踏まえて調査したもの。トップは陸上男子マラソン、2位は男子バレーボール、3位は陸上女子マラソンの順。以下、バレーボール女子、バスケットボール男子、同女子、ゴルフ男子、同女子、柔道女子52キロ級、柔道混合団体が続いた。1位と3位にマラソンがランクイン。〝オリンピックの華〟とも呼ばれ、大会最終盤に実施されて閉会式内で表彰されることも恒例となっている種目で、リアルタイム観戦率が高いことが実証された。
観戦満足度は、陸上女子やり投げがトップで、体操男子団体総合、バレーボール男子がトップ3。柔道男子66キロ級、同女子48キロ、陸上男子マラソン、体操男子種目別鉄棒、柔道男子81キロ級、バドミントン混合ダブルス、卓球女子団体がトップ10にランクインした。日本代表がメダルを獲得した種目が多くを占め、例外はバレーボール男子と陸上男子マラソンのみ。特に金メダル獲得種目が半数以上であることから、観戦満足度には〝競技の結果〟が大きな影響を与えていることが推察される。
「不公平・誤審」に大きな不満
さらに産能大では、パリ五輪を社会調査的な視点から総括すべく、「五輪の意義と大会運営に関する調査」を実施した。パリ五輪に限定せず一般的な五輪に対しては、男性、女性、20代、30代、40代、50代、60代のすべての層で「素晴らしい祭典だと思う」の肯定率が過半数にのぼり、女性と60代では7割に達した。しかしながら、パリ五輪に限定すると、各層でおおむね10ポイントずつ肯定率が低下した。
パリ五輪の肯定的意見の理由を自由記述で聞いたところ、「式典の豪華さ」「美しい景観」「歴史的建造物との融合」が挙がる一方、不満の声も散見。「不公平性・誤審」「選手村の環境」「セーヌ川の水質」「商業主義」などへの不満の声があがった。特に「不公平性・誤審」は2位の「選手村の環境」(63件)の3倍弱となる174件もの不満の声が聞かれた。