2023年4月17日 経済安全保障重要技術育成で 海洋・宇宙・航空の3事業に着手(NEDO)

NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は経済安全保障を強化・推進する観点から支援対象とすべき先端的な重要技術の研究開発を進める「経済安全保障重要技術育成プログラム」で実施する研究開発の第1弾として、「船舶向け通信衛星コンステレーションによる海洋状況把握技術の開発・実証」、「光通信等の衛星コンステレーション基盤技術の開発・実証」、「高感度小型多波長赤外線センサ技術の開発」の3事業に着手する。

NEDOは3事業の推進を通じて、経済安全保障を確保・強化する上で必須の社会基盤となる、衛星を用いた情報収集や通信技術などの能力向上を図る。事業の成果は、民生利用のみならず公的利用につなげていくことを目指す。

NEDOによると、世界的に、科学技術・イノベーションが国家間の覇権争いの中核となっている中、日本が技術的優位性を高め、不可欠性の確保につなげていくためには、研究基盤を強化することはもちろんのこと、市場経済のメカニズムのみに委ねるのではなく、国が強力に重要技術の研究開発を進め、育成していく必要があるという。

そこで、経済安全保障を強化・推進するため、内閣官房や内閣府、その他の関係府省が連携し、先端的な重要技術の研究開発から技術実証までを迅速かつ柔軟に推進するため、「経済安全保障重要技術育成プログラムが創設された。

プログラムでは、国が定める研究開発ビジョンに示された重要技術や重要技術となり得る要素技術を支援対象としており、その中で海洋領域の一つに「一般船舶の未活用情報の活用」、宇宙・航空領域の一つに「衛星通信・センシング能力の抜本強化」が挙げられている。

海洋領域では、宇宙インフラを活用した日本周辺海域やシーレーン周辺海域の海洋状況把握を行う能力の強化が必要となっているものの、現状は広大な海域を移動する船舶を網羅的に把握する手段が不十分で、十分なデータも蓄積されていない。

宇宙・航空領域では、さまざまな分野で衛星コンステレーションの利用が拡大し、経済社会にとって不可欠なインフラになると見込まれる中、地球規模での宇宙通信インフラの構築技術が求められている。また、センシングにおいては、従来のセンサでは得られない利用性の高い情報を収集できる多波長赤外線センサの重要な要素技術である赤外線検出器が世界的にも注目されている。

これら必須技術を他国に依存することなく自律的に構築する能力を持つことは、経済安全保障上、日本が国際社会において確固たる地位を確保し続けるために重要とされている。

このような背景の下、NEDOは国が定める研究開発ビジョンや研究開発構想に基づき、海洋領域の「一般船舶の未活用情報の活用」として「船舶向け通信衛星コンステレーションによる海洋状況把握技術の開発・実証」、宇宙・航空領域の「衛星通信・センシング能力の抜本強化」として「光通信等の衛星コンステレーション基盤技術の開発・実証」および「高感度小型多波長赤外線センサ技術の開発」の3事業の公募を行い、合計3テーマを採択した。

実施事業・採択テーマは、【海洋領域】では、事業名:経済安全保障重要技術育成プログラム/船舶向け通信衛星コンステレーションによる海洋状況把握技術の開発・実証(予算:147億円)、【宇宙・航空領域】では、事業名:経済安全保障重要技術育成プログラム/光通信等の衛星コンステレーション基盤技術の開発・実証(予算:600億円)と、事業名:経済安全保障重要技術育成プログラム/高感度小型多波長赤外線センサ技術の開発(予算:50億円)。


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