2025年2月18日 第12回「食品産業もったいない大賞」受賞者決定 AIとビッグデータを活用した取組に農林水産大臣賞

第12回「食品産業もったいない大賞」の受賞者が決定した。

この表彰は、食品産業の持続可能な発展に向け、「省エネルギー・CO2削減」、「廃棄物の削減・再生利用」、「教育・普及」等の観点から、環境対策に取り組み、顕著な実績を挙げた食品関連事業者等を表彰するもの。(公財)食品等流通合理化促進機構の主催、農林水産省の協賛により実施されている。

今回は、(株)バローホールディングス、中部フーズ(株)、(一財)日本気象協会、ソフトバンク(株)の取組(4者連名)が農林水産大臣賞を受賞した。

また、(一社)福岡県フードバンク協議会、(株)流行 hayari‐sausageハヤリソーセージ、(株)ライフコーポレーションが農林水産省大臣官房長賞を受賞している。

さらに、ヨシケイ開発(株)、築野食品工業(株)が食品産業もったいない大賞審査委員会審査委員長賞に選ばれている。

 

受賞者の取組・ポイント

【農林水産大臣賞】

〔AIとビッグデータ(人流・気象データ)を活用した連携によるフードチェーン全体での食品ロス削減:(株)バローホールディングス(岐阜県多治見市)、中部フーズ(株)(岐阜県多治見市)、(一財)日本気象協会(東京都豊島区)、ソフトバンク(株)(東京都港区)〕

グループ内の中部薬品(株)において客数予測が課題となり、日本気象協会の気象データ、ソフトバンクの人流統計データを活用したAI客数予測を導入。このAIによる客数予測が当社の課題解決に活きると見込み、総菜工場を持つ中部フーズとともに4社による共同研究開発を開始した。

2023年6月、バロー31店舗でAI需要予測・自動発注を導入し、売上・利益の向上と食品廃棄削減・欠品削減他に効果があることを確認した。また、日々の運用とは異なる年中行事イベントである「恵方巻」の販売では、過去最大800万円の廃棄金額をAI需要予測により廃棄ゼロを達成した。

今回の表彰では、ビッグデータによる「もったいない」へのアプローチの可能性を示したことが高く評価された。

 

【農林水産省大臣官房長賞】

〔もったいないを形にした食べ物、それが「ソーセージ」~起源は食用動物のすべてを無駄なく包装材(腸)に詰めて保存したのがソーセージの始まり。時代と共にその神髄をカタチに:株式会社流行(山梨県上野原市)〕

コロナ禍にエシカルに関する学びの場に出会い、自身のソーセージへのこだわりひとつの解決策になると気づく。コロナ禍で魚の流通が滞る豊洲市場から魚の活用について打診を受け、ソーセージ開発を行った。

製造の際に機械のパイプやノズルなどに残った材料を再形成し、ボロニアソーセージとして商品化したほか、アップサイクル商品としてワサビの茎・葉を活用した商品開発、勝沼の傷のあるブドウを活用した商品など、地元特産の「もったいない」食材を包装材(腸)に詰め商品化した。

今回の表彰では、地域密着の商品開発が評価された。

 

〔持続可能で豊かな社会の実現に貢献する食品廃棄物削減の取り組み:(株)ライフコーポレーション(大阪府大阪市)〕

2030年に食品廃棄量50%削減、CO2排出量50%削減の目標を打ち出している。

将来に向けて事業拡大を目指すには、ごみを減容する仕組みが必要との考えの下、プロセスセンターの隣にバイオガス発電設備を導入。隣の惣菜工場と近隣にあるカット野菜の2工場の食品残渣のバイオガス化に取り組んでいる。

2024年3月からは、店舗で行っていた野菜加工時に出る食品残渣削減にも取り組み、全てカット野菜工場で処理する体制に再構築。近畿圏168店舗の食品残渣を削減し、バイオガス発電に使用する仕組みを実現した。

今回の表彰では、地域の子ども食堂への商品寄贈や、「てまえどり」、食や環境に関する「出前授業」、「店舗イベント」の開催などの実施等、様々な取組が評価された。

 

〔地域の食品ロスを地域の福祉に活用 福岡県フードバンク協議会の取り組み:(一財)福岡県フードバンク協議会(福岡県古賀市)〕

協議会が窓口となる食品寄贈企業は約200社、フードバンクは10団体。エフコープ生活協同組合の敷地内にある事務所と倉庫を拠点に、中間支援組織として食品寄贈者とフードバンクの抱える様々な課題を解決する窓口として活動している。

県内で3つのフードバンク設立を支援し、フードバンク設立には事務所開設、倉庫、通信機器等の設備が必要なこと、食品寄贈先を自ら開拓する必要があることなどを指導し、設立に向けた心構えから始まり設立の支援を行っている。

さらに、食品寄贈企業が懸念する「目的の利用方法とならなかったインシデント発生」についても丁寧に取り組んでいる。

今回の表彰では、永続可能なシステムを指導、構築、運営している点が評価された。

 

【食品産業もったいない大賞審査委員会審査委員長賞】

〔夕食で「もったいない」を言わさない~受注生産方式でレシピ付きミールキットをお届け:ヨシケイ開発(株)(静岡県静岡市)〕

その日の夕食に必要な食材を必要な人数分届けるレシピ付きミールキットを受注生産方式にて販売している。ミールキット自体が家庭で使い切れずに廃棄される食材を削減できる仕組みとなっている。また、配達には繰り返し利用できるクールボックスを使用し、食材だけでなく資材の廃棄も抑えている。

2013年からは、個人宅だけでなく施設にもミールキットを届ける「ヨシケイキッチン!」の事業を開始した。

今回の表彰では、「もったいない」を約50年にわたり継続している点が評価された。

 

〔「廃白土」と「脱脂米ぬか」を活用したキノコ培地の開発により産業廃棄物削減を実現:築野(つの)食品工業(株)(和歌山県伊都郡かつらぎ町)〕

主力商品であるこめ油の製造工程(脱色工程)で使用する副資材の白土は、使用後に産業廃棄物として処理していた。

2019年に、この「廃白土」と、米ぬかを油の原料として利用した後の「脱脂ぬか」を用いたキノコ培地を開発し、販売を開始。2023年には、1185tの製品を出荷している。

今回の表彰では、自社の主力商品の再利用によるさらなる再商品化に結び付けた取組が評価された。


株式会社官庁通信社
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-13-14
--総務部--TEL 03-3251-5751 FAX 03-3251-5753
--編集部--TEL 03-3251-5755 FAX 03-3251-5754

Copyright 株式会社官庁通信社 All Rights Reserved.