環境省の中央環境審議会は11日、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の施行状況等を踏まえた今後講ずべき必要な措置について」答申をまとめ、環境大臣と農林水産大臣に対して答申した。答申では、特定外来生物の効果的な指定について、交雑個体・集団の指定について、迅速かつ適切な規制を可能にすることや、迅速、定期的に指定できる体制や枠組みを確保すること、大量遺棄等の弊害が想定される侵略的外来種を規制する仕組みの構築と各種対策の推進、遺伝子解析で簡易に判定が可能な外来生物も指定を推進すること、国内で流通している未判定外来生物の特定外来生物指定を検討することを求めている。
飼養等許可の適切な執行管理では、飼養等許可手続きのシステム改良等による合理化・効率化、過去から継続的に課題となっている種(セイヨウオオマルハナバチ、オオクチバス等)の対策の継続と改良を提言した。
水際における意図的及び非意図的な導入対策の推進では、海外での輸出時対策強化のための国際連携の強化、特定外来生物付着等の“おそれ”の段階を含めた拡散防止措置や、防除の協力要請等の法的な枠組みの構築、関連の深い事業者の配慮事項を整理した指針等を法律に位置づける等の措置の実施、発見時の通報をしやすくする取組の推進を求めている。
国内に定着している特定外来生物の防除対策の推進では、分布情報などの情報整理と発信、拡散懸念地域への注意喚起と取組促進ができる仕組みと体制の確保、防除対策実施上の課題を改めて明確化し、有効な対策の実現、防除の際の運搬や保管等に係る規制について、種の特性を踏まえた運用を可能とすること、防除の際に必要に応じて適切な薬剤を迅速に使用できる仕組みの構築、防除費用について公的資金の確保とともに多様な仕組みの活用の推進を提言した。
特定外来生物以外の外来種対策の推進では、「生態系被害防止外来種リスト」や「外来種被害防止行動計画」の外来生物法との関係を整理、見直しを実施することのほか、緊急対策外来種について、早急に対策を強化すること、産業管理外来種について、分布、被害、産業利用等の状況等を改めて確認し、適切な対応を実施すること、地方公共団体が条例や行動計画の策定を進めるための国の推奨・支援の実施、島嶼地域での国内由来の外来種対策を含めた重点的な外来種対策の実施を求めている。
各主体の協力と参画、普及啓発の推進では、各主体が行うべき取組を法的に明確にし、取組支援等の予算と体制を確保することや、生物多様性等に悪影響を及ぼす要因としての外来種問題の位置づけ、法の遵守等の普及啓発の推進、対象を明確にし、戦略的に普及啓発を実施。特に学校教育・社会教育が重要とした。
調査研究の推進では、調査研究を推進し、成果を社会に還元して、効果的な外来種対策に繋げることや、データ収集等の妨げとなっている運搬規制について、種の特性を踏まえた運用を可能にすること、重要な研究課題へ重点的、かつ速やかに研究資金を配分できる枠組みを検討することを提言している。