2024年5月17日 海運先進国当局間会議等を開催 紅海での航行安全確保等で活発な議論

4月29日と30日に海運先進国当局間会議(CSG)が、5月1日に米国海運関係当局とCSG間の政策対話(US‐CSG)が、米国・ワシントンD.C.で開催され、我が国も参加した。最近の各国の海事政策、海運の脱炭素化や船員の労働環境など、海運に関する幅広いテーマについて活発な議論が行われ、我が国からは、主に紅海における航行安全の確保、パナマ運河におけるコンテナ船優遇措置の改善、海運の脱炭素化の推進、船員の労働環境等について言及した。

海運先進国当局間会議は、国際海運市場への自由アクセスを確保するため18の海運先進国及び欧州委員会(EC)の担当部局との協調行動に向けた検討を行う会議で、国際海運における自由で公正な競争条件の確立に向けた取組を行っているほか、航行安全及び海洋環境保護等の幅広いテーマに関する意見交換を毎年1回開催している。また2年に1度、米国海事関係当局とCSGとの間での政策対話(US‐CSG)を開催している。

海運先進国当局間会議(CSG)では、主要議題について、以下のとおり、我が国の海運施策に関する発言を行った。

 

〇紅海における航行安全の確保

・本年1月に国連・安全保障理事会において、紅海上の船舶に対するホーシー派の攻撃を非難する国連安保理決議が採択されたが、更に我が国は、本年3月に安保理議長国として、米国とともにホーシー派による攻撃を最も強い言葉で非難するプレスステートメントを発出した。

・我が国は、ホーシー派のこのような行為を航行の自由と安全を阻害するものとして非難するとともに、我が国海運会社が運航する船舶が紅海で「拿捕」された事案について、船舶及び乗組員の早期解放を求める。

・今後もCSG各国等と連携して紅海における航行の権利及び自由の確保のために、国際海事機関(IMO)の場も含め、必要な対応を行っていく。

 

〇パナマ運河の通航制限問題

・パナマ運河のガトゥン湖の渇水による船舶の通航制限について、パナマ運河庁が昨年から実施した特定船種(コンテナ船)への通航予約の優遇については他船種にとっては不公平な措置であった。

・昨年9月に我が国からパナマ政府に対して改善要望のレターを発出したため、パナマックス閘門における優遇措置が撤回されたが、同措置はネオパナマックス閘門では引き続き実施されている。

・我が国としても、引き続き、パナマ政府と調整を継続していく。

 

〇海運の脱炭素化

・本年3月の国際海事機関(IMO)第81回海洋環境保護委員会(MEPC81)において「IMO Net‐Zero Framework」が合意され、GHG削減に向けた中期対策について議論が進展する中、日本は経済的手法として、ゼロエミッション船を導入するファーストムーバーを支援する課金・還付制度(feebate)を提案するとともに、EU提案の燃料GHG強度規制(GFS)の導入を支持している。中期対策が効果的なものとなるよう、各国と連携して取組を前進させていく。

・GHG削減目標のためには、船舶の適正な解体及び円滑な更新が不可欠であることから、2025年6月に発効するシップ・リサイクル条約の効果的な執行のために、未締結のCSG参加国の加入を要請する。

・本年4月、日本とシンガポールは、グリーン・デジタル海運回廊の協力覚書に基づく第1回年次会合を開催し、脱炭素化の解決策の一つである舶用アンモニア燃料等について協議を行った。舶用アンモニア燃料は脱炭素化の解決策の一つであり、日本では、本年7月に世界初の商用のアンモニア燃料船の就航が予定されている。

 

〇女性船員の確保

・船員という仕事を女性にも職業として選択してもらうため、海事産業で働く女性の事例集の発行等により女性から見た船員という仕事や職場環境の情報発信に努めている。

 

〇船員のいじめ・ハラスメント対策

・昨年、非営利調査研究機関である「海技振興センター」が、我が国の船社と船員を対象としたいじめ・ハラスメントに関するアンケート調査を実施し、本年2月の国際海事機関(IMO)第10回人的因子訓練当直委員会(HTW10)でこの結果を報告している。本調査結果を踏まえて、現在、いじめ・ハラスメント防止のビデオ教材を作成しており、日本関係船舶の船員教育の教材として活用していきたいと考えている。

 

米国海技関係当局とCSGとの間での政策対話(US‐CSSG)では、米国・連邦海事局長官から、海運及び造船は米国における重要産業のひとつであるが、ボルチモア港のフランシス・スコット・キー橋崩落事故のような予期せぬ事象がかつてより発生頻度を高めている中で、どのようにサプライチェーンの維持に努めるかが目下の取り組みであるとの発言があった。


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