消防庁は、減少が続く消防団員の更なる確保に向け、女性や若年層をはじめとする幅広い住民の入団促進に向けた「消防団員の確保に向けたマニュアル」を1月21日に作成した。
令和6年能登半島地震等においては、自らが被災しながらも、発災直後から火災現場における消火や倒壊家屋からの救助、避難所運営の支援、行方不明者の捜索等の活動を懸命に取り組んできた。
こうした大規模災害になればなるほど、地域に密着した消防団の力が重要とされる中、依然として団員減少は続いており、地域防災力の低下が懸念され、消防団員の更なる確保が不可欠となる。
そこで、地方公共団体と消防団が抱える問題解決の糸口となるよう、活用していただくことを目的に、各地域の優良事例を取り上げ、団員確保につながるノウハウについて以下の9つのポイントに分け記載した、消防庁として初のマニュアルを作成した。
〈消防団の魅力発信のポイント〉
① 地域の現状を把握する
・消防団員・地域住民へのアンケートなどを活用した各地域の現状把握
② 消防団の魅力を明確化する
・地域貢献、防災等に関する知識・スキルの習得、ドローン等の操縦技術や準中型免許等の資格取得、様々な職種・世代との交流等
③ 認知度や関心度を高める
・イベントやSNS等の様々なツールの積極的な活用
〈新規団員確保に向けた働きかけのポイント〉
④ 機能別団員・機能別分団制度を活用する
・地域の実情や個人の特性に応じた機能別団員・機能別分団の検討(消防職団員・関係機関のOBや学生の活用、ドローン、重機、バイク等の技能を生かす活動等)
・機能別団員・機能別分団を導入する際の検討プロセス、注意点などの具体的手法
⑤ 事業所との連携
・農業や建設業など、地域に密着した事業所へのアプローチ手法
・消防団に協力する事業所のメリット
〈入札参加資格などの優遇措置、表彰制度、イメージアップ等〉
⑥ 大学等との連携
・看護学生や公務員志望の学生が多い学科など、消防団と親和性のある大学等へのアプローチ手法
・学生が入団するメリット(就職活動時のアピール材料、幅広い世代との交流等)
⑦ 地域との連携
・学校などの教育機関やコミュニティスクール、少年消防クラブ等と連携した防災教育・訓練
・自治会などの地域コミュニティ、防災士などの地域を支える様々な主体との連携
〈働き方改革などの環境づくりのポイント〉
⑧ 消防団の負担軽減等の働き方改革を進める
・活動の効率化につながるアプリ等のデジタル技術の活用
・操法大会や訓練等について、家庭や仕事の状況等に配慮した見直しや、参加の任意性の確保等による負担軽減策
・世代を超えてフラットな立場で意見を出し合える風通しの良い組織づくり
・女性団員が主体となった活動チームの結成や女性幹部の登用等による女性が活躍できる環境づくり
⑨ ハード面等の環境整備を進める
・詰め所における女性用トイレ・更衣室の整備、子育て世代に向けた託児サービスの提供、小型・軽量化された車両・資機材の整備など、全ての団員が活動しやすい環境づくり