内閣府がまとめた4月の月例経済報告によると、個人消費でこのところ持ち直しの動きがみられ、公共投資ではこのところ底堅い動きとなっていることなどを要因として、「景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和される中で、持ち直しの動きがみられる」と4ヵ月ぶりに基調判断を上方修正した。また、先行きについては、「感染対策に万全を期し、経済社会活動が正常化に向かう中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、ウクライナ情勢等による不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、供給面での制約等による下振れリスクに十分注意する必要がある。また、感染症による影響を注視する必要がある。」としている。
日本経済の動向をみると、個人消費では、需要側の統計をみると、「家計調査」(2月)では、実質消費支出は前月より2.8%減となった。販売側の統計をみると、「商業動態統計」(2月)では、小売業販売額は同0.9%減となっている。
設備投資は、持ち直しの動きがみられ、需要側統計である「法人企業統計季報」(10~12月期調査、含むソフトウェア)でみると、2021年10~12月期は前期比3.4%増となった。業種別では、製造業は同3.4%増、非製造業は同3.3%増となっている。機械設備投資の供給側統計である資本財総供給(国内向け出荷及び輸入)は、持ち直しの動きがみられる。ソフトウェア投資は、緩やかに増加している。
住宅投資は、このところ弱含んでおり、持ち家の着工は、このところ弱い動きとなっている。貸家及び分譲住宅の着工は、おおむね横ばいとなっている。総戸数は、2月は前月比6.4%増の年率87.2万戸となった。
公共投資は、このところ底堅い動きとなっており、1月の公共工事出来高は前月と比べて2.0%減、3月の公共工事請負金額は同13.6%増、2月の公共工事受注額は同1.5%増となっている。
鉱工業生産は、持ち直しの動きがみられ、鉱工業生産指数は、2月は前月比2.0%増となった。鉱工業在庫指数は、2月は同2.1%増となっている。また、製造工業生産予測調査によると3月は同3.6%増、4月は同9.6%増となることが見込まれている。
企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。「法人企業統計季報」(10~12月期調査)によると、2021年10~12月期の経常利益は、前年比24.7%増、前期比17.4%増となった。業種別では、製造業が前年比22.1%増、非製造業が26.4%増となっている。
企業の業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。「日銀短観」(3月調査)によると、「最近」の業況は、「全規模全産業」で低下した。6月時点の業況を示す「先行き」は、「最近」に比べやや慎重な見方となっている。
倒産件数(3月)は593件とおおむね横ばい、負債総額は1696億円となった。
雇用情勢について、完全失業率は、2月は前月比0.1%ポイント低下し、2.7%となった。労働力人口は増加し、集合者数は横ばい、完全失業者数は減少した。