2024年5月22日 全国の認定件数は計27件に 奥入瀬渓流エコツーリズム推進全体構想を認定

エコツーリズム推進法第6条第1項に基づき、青森県十和田市から主務大臣(環境大臣、国土交通大臣、文部科学大臣及び農林水産大臣)宛てにエコツーリズム推進全体構想の認定に係る申請書の提出があり、これを受けて審査を行ったところ、同条第2項各号の基準に適合すると認められたため、これを認定した。今回の認定により、全国の全体構想の認定件数は、計27件となる。

奥入瀬渓流を要する青森県十和田市は青森県と秋田県が接する県境に位置し、十和田湖、奥入瀬渓流や八甲田等の豊かな自然と十和田市現代美術館や官庁街通りなどのアートが融合した美しいまちである。

奥入瀬渓流とは十和田湖から流れ出る奥入瀬川のうち子ノ口から焼山に至る区域の名称である。十和田八幡平国立公園の特別保護区かつ文化財保護法における特別名勝・天然記念物であり、国有林の自然維持タイプにも指定されている原生的な自然が存在する。

奥入瀬渓流エコツーリズム推進全体構想は、この貴重な自然環境を保全・活用しつつ観光振興、地域振興、環境教育を推進することで十和田市が目指す将来像を実現していくため作成したもの。

構想の対象地域は全長14kmに及ぶ奥入瀬渓流とその周辺地区(子ノ口地区、焼山地区等)。渓流沿いに原生的で豊かな自然が残されているとともに焼山などの温泉街エリアも含む。また、隣接地域には十和田湖や八甲田等の国内有数の観光地も存在している。

対象地域を代表する奥入瀬渓流は100万年ほど前からの数度にわたる火山活動やカルデラ湖の決壊等によって作り出された特徴的なU字型の渓谷であり、渓流沿いに続く断崖には多数の滝も存在する大地と水が創り出した芸術品である。植生面ではブナやトチノキなどの巨木、各種の草花、シダ、コケ、キノコ類など原生的かつ豊かな森林植生が存在している。

このような大地や渓流、森林などの自然景観の他、そこに生育する動植物、渓流を流れる清冽な水などが主な自然観光資源である。またこれらの自然環境を活用した温泉や山菜類など地域の生活文化・食文化も地域ならではの自然観光資源である。

 

この構想で推進するエコツーリズムの基本方針は以下のとおり。

1.自然環境の保全

~天然の自然博物館「奥入瀬」を将来にわたって保全するためのエコツーリズム~

2.観光・地域の振興

~奥入瀬ならではの自然を活用した観光・地域振興。人と人との出会いを生み出すエコツーリズム~

3.人と自然のふれあいの推進

~「人と自然の新しい関係」を創り出すエコツーリズム~

 

この方針を踏まえたうえで、構想では自然環境、利用環境、エコツアーの質に関する各種ルールを設定し、「天然の自然博物館」として地域の自然を保全しつつ活用することとしている。

自然を体験するプログラムとしては、地元ガイドと渓流沿いの歩道や多数ある滝を巡るツアー、奥入瀬ならではの自然環境が育んだコケなどをじっくり観察するツアー、他にはない特徴的な地形や地質を楽しむツアー、豊かな自然の癒しを体験するツアー、冬季のスノーシューツアーや氷瀑観察などがすでに行われており、今後より発展していくことが見込まれる。

一方、自然環境や利用環境の現状把握と保全のため、地元ガイドをはじめとする関係者や関係機関により自然環境のモニタリングも継続して行う。

構想の推進体制として、既存の奥入瀬渓流エコツーリズムプロジェクト実行委員会の下に、関係行政機関等のオブザーバー等を加えた「奥入瀬渓流エコツーリズム推進全体構想」検討部会を設置し取組を進めている。

 

「奥入瀬渓流エコツーリズム推進全体構想」検討部会

十和田市商工観光課、(一社)十和田奥入瀬観光機構、NPO法人十和田奥入瀬郷づくり大学、(一社)十和田湖国立公園協会、十和田商工会議所、(一財)自然公園財団十和田支部、(一財)十和田湖ふるさと活性化公社、焼山町内会、奥入瀬渓流温泉町内会、NPO法人奥入瀬自然観光資源研究会、青森県(環境生活部自然保護課、観光国際戦略局観光企画課、県土整備部道路課)、環境省十和田八幡平国立公園管理事務所、国土交通省青森河川国道事務所、オブザーバー(関係行政機関等)


株式会社官庁通信社
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-13-14
--総務部--TEL 03-3251-5751 FAX 03-3251-5753
--編集部--TEL 03-3251-5755 FAX 03-3251-5754

Copyright 株式会社官庁通信社 All Rights Reserved.