昨年度、介護職員の離職率はデータを確認できた2007年度以降の最低を更新した。介護労働安定センターが10日に公表した最新の「介護労働実態調査」で明らかになった。
前年度より1.3ポイント低い13.1%。近年の低下傾向が更に進み、13%台を記録した。
介護職員は離職率が高い、というのはもはや過去の話。全産業の平均は15.0%(2022年雇用動向調査)で、これより低い水準が既に達成されている。
国の処遇改善の施策に加え、人材の定着を図る個々の事業所・施設の取り組みが寄与しているとみられる。先行きは予断を許さない。他産業で賃上げが進展するなか、介護事業者も厳しい競争にさらされている。介護職員の離職超過を伝える調査結果も示されており、今後の動向が注目される。
今回の「介護労働実態調査」は、介護労働安定センターが昨年10月に実施したもの。全国の9077事業所・施設から有効な回答を得ている。
離職率に事業所・施設ごとの格差がある点は変わっていない。10%未満が半数を占める一方で、20%以上も4分の1を超えている。30%以上のところも1割強あった。
離職率が低下傾向にある事業所・施設にその理由を尋ねたところ、「職場の人間関係がよくなったため」が63.6%で最多。次のような答えも少なくなかった。
◯残業削減、有休の取得促進、シフトの見直しなどを進めたため=45.6%
◯賃金水準が向上したため=36.3%
◯仕事と家庭の両立の支援を充実させたため=36.1%