東京商工リサーチは6月25日、介護業界にフォーカスして法人の新設の動向をまとめたレポートを新たに公表した。
それによると、昨年1年間に新設された介護事業者の法人は3203社。5年連続で前年を上回った。訪問介護や通所介護などの展開を計画する事業者が多い。
昨年の数字は過去10年で2番目の水準。都市部を中心とした安定的な介護ニーズの拡大が背景にある。
一方、介護業界は足元で事業者の倒産、休廃業、解散の件数も伸びている。新規参入の増加で利用者や人材を取り合う競争が激化。介護報酬の加算の取得や生産性の向上など求められることも増えるなか、優勝劣敗、適者生存の新陳代謝が進んでいる。
介護事業者の新設法人数から倒産、休廃業、解散の件数を引いた単純計算の法人の純増数をみると、昨年1年間は2571社。過去10年で3番目に多い水準となった。
東京商工リサーチは今後について、「高齢化に伴う市場拡大をにらみ、介護事業者の新規参入は増加が見込まれる」と分析。「介護経営の安定化には人材確保、賃金上昇とそれを支える効率化が欠かせない。事業者の自立的な経営革新も求められる」と指摘した。