2024年5月8日 事業者団体に要請 約束手形等の交付から満期日までの期間の短縮

中小企業庁では、中小企業の取引適正化の重点課題の1つに「支払条件の改善」を位置づけ、業種別の下請ガイドラインや自主行動計画などを通じ、約束手形、電子記録債権、一括決済方式による下請代金支払のサイト(交付から満期日までの期間(※1))の短縮を推進してきた。2024年11月以降、下請法の運用が変更され、サイトが60日を超える約束手形や電子記録債権の交付、一括決済方式による支払は、行政指導の対象となる。サイトの短縮は、下請法の適用対象とならない取引も含め、サプライチェーン全体で取り組むことが重要なことから、同庁は4月30日、公正取引委員会と連名で、各事業者団体等に対する要請文を発出した。

中小企業庁と公正取引委員会は、1966年以降、業界の商慣習、親事業者と下請事業者との取引関係や金融情勢等を総合的に勘案し、繊維業は90日、その他の業種は120日を超えるサイトの手形等(※2)を、下請法が規制する「割引困難な手形」等に該当するおそれのあるものとして指導してきた。

こうした長期の手形等が資金繰りの負担となっていることなどを踏まえ、中小企業庁では、中小企業の取引適正化の重点課題の1つに「支払条件の改善」を位置づけ、業種別の下請ガイドラインや自主行動計画などを通じ、手形等による支払期間の短縮を推進してきたところである。令和3年3月には、下請法の運用の見直しについて、検討を行うこととしていた。

そして今般、改めて各業界の商慣行、金融情勢等を総合的に勘案して、意見公募手続を経た上で、サイトが60日を超える手形等が、下請法上の「割引困難な手形」等に該当するおそれがあるものとして、指導の対象とする運用の見直しを、公正取引委員会が公表した。

※1:一括決済方式の場合は、代金支払期日から代金債権の額に相当する金銭を金融機関に支払う期日までの期間

※2:約束手形、電子記録債権、一括決済方式

 

今後は、令和6年11月1日以降に交付された手形等について、新たな運用が適用されることになる。

事業者が手形等のサイトを短縮できない理由は、上位の取引先からの支払が手形等によるものであり、そのサイトが長いことであるとの声が多く聞かれる。下請法の対象とならない取引も含め、サプライチェーン全体でサイトを短縮化していくことが、中小企業の取引適正化のために必要である。

また、手形等のサイトの短縮に取り組む事業者の資金繰りへの影響にも配慮が必要である。

そこで中小企業庁は、公正取引委員会と連名で、各産業の業界団体や、金融機関及びそれを監督する省庁等に対し、以下の内容の要請文を発出した。

1.サイトが60日を超える手形等を下請法の割引困難な手形等に該当するおそれがあるものとして指導の対象とする運用が、令和6年11月1日から始まること。

2.ファクタリング等の一括決済方式については、サイトを60日以内とすることに加え、引き続き、一括決済方式への加入は下請事業者の自由な意思によること並びに親事業者、下請事業者及び金融機関の間の三者契約によることを徹底すること。

3.下請法対象外の取引についても、手形等のサイトを60日以内に短縮する、代金の支払いをできる限り現金によるものとするなど、サプライチェーン全体での支払い手段の適正化に努めること。とりわけ、建設工事、大型機器の製造など発注から納品までの期間が長期にわたる取引においては、発注者は支払い手段の適正化とともに、前払い比率、期中払い比率をできる限り高めるなど支払条件の改善に努めること。

4.手形等のサイトの短縮に取り組む事業者からの資金繰り支援の相談に丁寧かつ親身に応じるとともに、事業者の業況や資金需要等を勘案し、事業者に寄り添った柔軟かつきめ細かな資金繰り支援に努めること。


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