2022年3月25日 【地球研】森林所有者の森林離れを防止するには?~「幸福度」からヒントを探る~

□ポイント■

○森林所有者の幸福度は低くなりにくい

○年齢が上がるごとにも同様の効果確認

○森林経営への関心・意欲向上に期待

 

木材価格の低迷などから森林所有者の森林離れが続いている。その対策として、2019年から始まった国の制度「森林経営管理制度」は、経営意欲の減退した森林所有者から市町村が経営を引き継ぎ、林業事業者や市町村が経営を担うというものだが、受け皿となる市町村も人員不足等から対応に苦慮しているというのが実情。

こうしたなか、総合地球環境学研究所(地球研)を中心とした研究チームは、2018年3月に滋賀県野洲川上流域で森林に関するアンケート調査を行い、どのようにすれば森林所有者の「森林幸福度」(森林と関わることで得られる幸福感)を高めることができるか検討してきた。

研究チームは、先行研究によって、当該地域の森林所有者の森林幸福度が非所有者に比べて低めであることを明らかにした。今回、新たに森林所有者の属性を詳細に分析したところ、森林でリラックスしたり、木工活動に勤しんだりすることで森林所有者の森林幸福度が低くなりにくいことが明らかとなった。

また、年齢が上がることにも同様の効果が認められた。さらに、財産区(共有林)の役員を務めること、所有林に占める人工林(スギ・ヒノキなどの植林)の比率が高いこと、所有林の境界を正確に把握していることなども、森林幸福度の高さと関連していることがわかった。

過去1年以内に所有林から得られた収入・収穫は森林幸福度を向上させるのに対し、それ以前に得られた収入・収穫は森林幸福度を低下させる要因となりうることも示唆された。

今後、こうした分析結果に基づいて施策を講じることで、森林所有者による森林経営への関心や意欲を向上させることが期待される。

この成果は、2019年度に終了した地球研プロジェクト「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会-生態システムの健全性」における研究結果をまとめたもの。3月17日発行の「日本森林学会誌」(オンライン版は4月17日公開予定)に掲載された。


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