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2017年3月27日 高等教育への予算拡大、きれいごとでは難しいのでは…

わが国高等教育について、公的財政の拡大という世界トレンドと逆行しているといわれて久しい。特に国立大学に対する投資は、28年度は若干の増となった(国立大学関係者によると、実質的には減ったというが…)ものの、平成16年度の法人化以降減り続けている。毎年度100億円近くのダウンを10年以上続けており、減額の総額は1000億円以上となっている。

こうした状況は、わが国科学技術の国際的地位を確実に低下させている。東大のアジアナンバーワンブランドも今や昔。かつてはケンブリッジなど欧米の著名大学にはかなわずとも、アジアではトップだったが、高等教育への財政投入を国策として充実させているシンガポールや中国の大学にその座を明け渡している。

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逆風のなか、国立大学協会をはじめとする大学関係者も懸命に声をあげて、予算獲得に向けて努力をしている。「このままでは、日本人ノーベル賞受賞者を輩出することが困難なになる」「世界でのわが国科学技術の地位が低下する」などなど。さらに、現政権が掲げているGDP600兆円経済に向けて、わが国産業を牽引するイノベーション創出には科学技術は不可欠と訴える。

こうしたアピールを行うことは正しいと思う。しなしながら一方で、これでは国立大学関係者が望む方向での予算増額は不可能だとも感じる。予算のカギを握るのは財務省だが、財政当局を動かすのに有効なのは国会議員。さらに国会議員を動かすのは国民。しかもいわゆる市井の人々だ。戦後すぐに農家に生まれ、中卒で繊維工場に就職、以来50年にわたりミシンを踏んで家計を手助けしてきた筆者の母親のような者からすれば、わが国科学技術の世界における地位なんてどうでもいい。日本人ノーベル賞受賞者が出ても、喜びは1日で終わる。

大学・研究者関係者には、空ばかり見ないで、もう少し地面を見てほしい。市井の人が求めているのは自分の生活。また、政治に最も影響力を持つとみられる老人層が要望するのは、孫世代が豊かになれるかどうか。予算増額の要望にあたっては、もっと具体的な国民生活との関連性を示してほしい。失礼ながら、大学関係者のアピール・声明などはきれいごとにみえる。

僭越ながら提案をさせていただくと、科学技術への公的投資や高等教育予算を増額することと、将来の社会保障費の関係はどうなのか、今の子どもたちは将来職に就くことができるのか―といったことに関して、データを示してはどうだろうか。厚労省や医師会は年金、医療を、農水省・農協は農業をそれぞれ〝人質〟にしている。文科省・大学も戦略の転換が必要なのではないかと思う。


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