2020年11月30日 老後に備えた生き方の極意とは

哲学者・岩見一郎氏の「老いと死から自由になる哲学入門書」の話である。岩見氏は現在64歳であるが、的を射た観察力には驚かされる。70歳を過ぎると、行動が遅くなるとともにやる気が出ない時がある。怠け心が出たのかと自分自身が嫌になる。ただ、やる気が出ない時、やる気を出してはいけない理由があるそうだ。やる気が自分に出ないのだから、するべきことが出来なくても仕方ないと思えばいいのだ。周りに嫌われない程度にやる気を出す。必要に応じてやる気を出せばいいのかもしれない。いつでも早く行動をしなければならない訳ではないという。

今や60歳の人のうち4人に1人は96歳まで、更に10人に1人は100歳まで生きる。統計生存率上、大半以上の人が70歳のハードルを楽々と超える。まさに人生100年時代。ところで、安心した老後を迎える秘訣は、老後の生き方にあるとともに、老後資金を枯渇させないことだという。大事なことは、「長く働く」「年金など社会保障のフル活用」「支出管理と堅実な運用」という基本的な対策の「三位一体」を総合的に実行することだそうだ。70歳超えたといってやる気がでないといった甘えは許されない。聖路加病院名誉医院長だった故日野原重明氏は第3の人生が始まる75歳までは働く覚悟を持たねばなるまいという。

ただ、気になる統計データがあることも不都合の事実である。高齢化が進む中で、喜寿を迎えた人の5人中一人は認知症を発症するということだ。本人は何もわからないで済むけれど、周りの者に迷惑と負担をかけることが心配の種。平均寿命との兼ね合いで、何歳まで働くかの判断基準は人それぞれだ。第3の人生たる余生を楽しむための時間を考えるならば、後期高齢者スタート年齢75歳が一つの目安となりそうだ。勤務先の医療保険制度の資格も喪失して高齢者医療保険制度に切り替わる75歳でもある。

さて、済んだことをくよくよしないこと、また済んでしまったことを肯定しなければ老人は生きて行けないと思う。スローな楽しみ方、今こそ何事にもゆっくり取り組むことを楽しめばいい。「まあ、しょうがない」で済ませる考え方も大切なのだ。高齢化の特徴として、余命時間に相関するように気が短くなるようだ。「朝令暮改」にあらず「長齢暮改」で、朝のうちに決めた事を午後の早い時間帯に平気で変えることが多々ある。周りを振り回して申し訳ないと思いつつ、認知症をかわしながら、平気の平左を決め込む。そういった振舞いをドイツ語でgenieβen(ゲニーセン)といって、老年の楽しみを享受するそうだ。なお、105歳の天寿を全うされた日野原重明氏の言葉で、「人の寿命は長さではなく、深さにある」ということを追記する。


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