2020年9月7日 コロナ禍であぶり出された不都合事実

2018年1月施行の改正マイナンバー法は付則で2021年に口座付番の義務化を視野に見直す規定がある。本年5月、総務大臣の「全ての預金口座にマイナンバーを紐付けることができれば国民の多くの負担軽減につながる」と表明した。わずか3週間足らずで1人1口座に限定すると後退。行政を効率化し、国民の利便性を高め公平公正な社会の実現を掲げるマイナンバー制度。運用を始めて4年が経過した今、政府が描く既定路線のとおり進むのか懐疑的な出来事がコロナ禍からあぶり出された。

コロナ対策の一環で国民一律10万円の特別給付金支給である。各自治体の支給業務の締め切り時期を先月下旬に迎え、その支給実績が気になるところである。郵送による申請書そのものが届かない人も見受けられる。一方、マイナンバーを使ったオンライン申請も可能としていたが、市町村の住民基本台帳と連携していない自治体では職員が台帳との照合で膨大な手作業を強いられた訳である。迷走するマイナンバーは、アベノミクス第3の矢であった「成長を軌道に乗せる社会経済構造改革」が十分な成果をあがっていない証左といえる。政府はマイナンバー制度に6,400億円の国費を投じているが、行政の実務上で最適化されていないようだ。システムの機能不全がこうも度々露呈する状況を目にすると、行政のデジタルサービスそのものが不作為の代償と言われかねない。

スイスのビジネススクールIMDの世界デジタル競争力ランキング2020年版によれば、わが国は63カ国中34位と過去最低となった。上位には欧米アジアの主だった国が並ぶ。アジア地域に限れば、シンガポール、香港、韓国、台湾、中国に後れをとっている。ランキングの推移見ると、1992年には首位にあった序列は、28年の間に34位まで後退。前年度23位だったので、この1年間に11順位を低下させたことになる。今後更なるランキングの下落も危惧される。この現状の根本原因は、情報処理が未だに紙への依存から脱却していないことにある。IT化やペーパーレスの空念仏だけではすまされない。国の手続きでオンラインが完結できる割合は7.5%に過ぎないという調査結果もあり、その改善が急務ではなかろうか。

さて、政府は「2022年度までにほぼ総ての国民にマイナンバーカードを交付する」という達成目標を掲げた。その工程表によると、2021年3月に健康保険証とカードを一体化し、デジタル対応した医療機関ではカードが保険証の代わりとなる。更に同年10月以降には処方された薬の情報もカードで引き出せるようになる。将来構想では、過去の診察情報や感染症の予防接種、手術歴など多様な治療歴の把握が可能となる。ただし情報取得には患者の同意が前提となるようだが、今後の利用者の利便性を高める地道な努力が望まれる。そして、マイナンバーに代表される行政のデジタルサービスが国家の不都合な事実にならないことを願って止まない。


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