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2020年3月2日 環境と統治で企業が選別される時代

米タイムズ誌の「2019年の人」に史上最年少でスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんが選ばれた。彼女の「How Dare  You!(よくもそんなことが!)」の発言は大人たちの度肝を抜くものだった。またダボス会議でトランプ米大統領の「1兆本の植林活動」演説に対して、「植林だけの対応では気候変動の解決には不十分だ」と堂々と反論していた。気候変動に対する具体的対策、貧困と飢餓の撲滅、エイズやマラリアなど疾病の蔓延防止など17項目にわたる開発指針(SDGs)の実現に向けた取り組みがある。かつてメガネをかけ首からカメラをぶらさげているのが日本人ビジネスマン。今では具体的な行動はしないのにSDGsのピンバッジをまるでファッションのように付けていると揶揄される有様。グレタさんの取り組みとは好対照なるが故か。

ところで株式市場は、環境・社会・企業統治(ESG)に配慮し、持続性ある社会の実現に向けた投資の判断基準が変わる潮流にあるという。日本におけるESG投資に関心が向いたのは2017年。世界最大の年金基金である年金積立金管理運用独立法人(GPIF)がESG関連指数への投資を始めたことだった。当時、高橋則広理事長は「お金だけでなく別の財産を将来の世代に残したい」とその狙いを説明していた。

そもそもESG投資は、長期投資を行うための視点を有する。投資先企業を評価する材料としては、利益率やキャッシュフロー、バランスシートといった業績を示す財務諸表が真っ先に思いつく。確かに過去の業績から予測できるのは財務諸表である。しかし予測のリードタイムはせいぜい数年先で、10年、20年先の長期的な予測には限界がある。企業側も財務と非財務の両方を網羅した統合報告書を発表。投資家も短期の収益力だけでなく、持続性を加味した成長性で企業を選別する流れが強まっている。

さて、地球温暖化防止の取組みが強まる中、ガソリンなど石油燃料からの脱却が求められる。トゥンベリさんは航空機には乗らずに列車やヨットで国外移動して二酸化炭素(CO2)削減を実践している。自動車業界も電気自動車(EV)に舵取りを変えつつあるが、EVの電気を火力発電などで賄う限り、間接的にCO2を排出する。これを克服するには水素を燃やすエンジン開発に尽きる。CO2を排出しないゼロエミッション車だけに止まらず、船舶や建機・農機などの普及を目指すならばその効果は期待できそうだ。石油に依存しない技術開発は、SDGsの実現に直結する。同時に環境問題が経済活動の場面で問われることこそESG投資の真髄であり、まさに環境と統治で企業が選別される時代の到来である。


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