2019年12月9日 年金改革の焦点とそのターゲットは

10月下旬並びに11月中旬に招集開催された厚労省の「社会保障審議会」年金部会で、公的年金の受給開始年齢の拡大と在職老齢年金の基準額変更に伴なう年金額の見直し案などが諮問された。同省は年末までに年金制度改正案を取りまとめ、来年の通常国会への提出を目指している。

年金の受け取り時期に関する議論は、現状の60~70歳を60~75歳まで拡大して、繰り下げ受給した場合最大で84%増やす案が提示されている。ただ増加率については、平均寿命の伸びや直近の経済情勢を考慮すると払い過ぎとなり、それを放置すれば将来世代にツケが回る。その一方で、高齢者の就労を促す観点から年金増額重視の意見もあり、悩ましい決断を迫られている。政府が目指す70歳まで働く高齢者を増やす雇用改革に対して、厚労省は平均寿命や積立金の運用利回りなどの影響を踏まえて増額率を見直すどうかを年末までに判断するという。

ところで、厚労省は公的年金の運用目標について、2020年から24年度まで実質1.7%に据え置くことを決定している。GPIFは、2019年度中に資産構成を示す「基本ポートフォリオ」の見直しに取り組むため、従来四半期ごとに開示してきた資産配分を2019年度に限って非開示と発表(11月1日)。世界的な金融緩和で金利が消滅する中で、日本国債での運用が困難になった。世界最大規模の投資家であるGPIFもその対応を迫られている。10月為替の影響を回避するヘッジ取引を組み合わせた外債の投資枠を増やすと発表したことはその表れであろう。過度な円高は輸出企業が多い日本経済にとって大きな打撃となり、日銀が掲げる2%の物価安定目標の実現を遠ざける。かっての財務省や日銀による意図的に自国通貨安を実行すれば「為替操作国」に指定されるため、2011年を最後に円売り介入を行っていない。今回のGPIFが行う運用方針の変更は、日本経済に大いに寄与する訳である。

さて、平成の年金改革のメインターゲットは団塊世代であった。人口の多い団塊世代が60歳になる前に年金支給開始年齢を65歳へと段階的に引き上げた。今回の財政検証で、将来財源が足りなくなる試算を国民に明らかにして、年金カットや保険料の増額、支給開始年齢の引き上げに向けた叩き台が示めされた。令和の年金改革のメインターゲットは、歴史の繰り返しではないが、団塊ジュニア世代になるのかもしれない。年金支給開始年齢も現行の65歳は、欧米の開始年齢に比べると2~3歳早いことから、いよいよ68歳への引き上げも考えられる。同時に、年金受給世代の給付額を減らす様々な改革が提示されるであろう。今年の年金制度国際ランキングによれば、わが国は37カ国中31位で、持続性の評価は最低ランクだった。いよいよ来年の通常国会で年金関連法の改正が行われる。現役世代のためにも現行制度の改善向上を願って止まない。


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