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2019年8月5日 機関投資家GPIFの運用実績

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2018年度の運用実績を発表した。運用益は2兆3,795億円で、3年連続黒字となっている。運用利回りは1.52%で運用指標の1.92%に及ばなかったものの、年度末の運用資産額は159兆2,154億円で、前年156兆3,832億円から2兆322億円増である。GPIFの前身である年金資金運用基金が市場運用を始めた2001年からの累積収益額は65兆8,208億円。年度別の収益推移(運用手数料控除前)は次表に示すとおり。

2016年4月に就任した高橋則広理事長は、「後の世代に積立金を安定して残すのが基本的な姿勢で、これからも長期的な目線で運用していく」と述べるとともに、就任当時140兆円の運用資産があれば、資産価格が多少変動してもマネジメントできると強調した。累積収益中、6割強が配当や利益収入であることから長期保有の利点を発揮できるであろう。公的年金の運用比率を債権から株式に移行した2014年10月以降の収益推移からも、株式投資のリスクは想定内であり、GPIFの安定運用は評価できると思う。

ところで、2018年度年金財政収支では、厚生年金・国民年金の給付総額55.1兆円に対して、約7割の38.5兆円を保険料収入で、2割強の12.7兆円を国庫負担(税金)で、不足分の1割弱の3.9兆円をGPIFの運用収益から補填されている。因みに18年度のインカムゲイン(利子と配当収入)は初めて3兆円を上回る3兆409億円だった。

さてGPIFは一昨年夏から人工知能(AI)を年金運用に取り入れて、運用委託する信託銀行などの膨大な取引データをAIで解析し、長期の安定運用につなげようとしている。と同時に、株式運用を委託する運用会社の評価基準にESGの要素を取り入れている。GPIFの2018年度運用実績では、外国株式・外国債券・国内債券はプラスだったが、国内株式は2兆732億円のマイナスで終わった。来年春までに資産構成の見直しを検討中のGPIFであるが、年金マネーの動向を映す信託銀行の外債買越額は今年4~6月に1兆4千億円(前年同期比14%増)からも運用の海外シフトの継続が窺がえる。国民の虎の子である年金積立金をGPIFの運用に任せている以上、年金加入者としてはその手腕を信じる他に選択の余地はないのだが。


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