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2019年6月10日 老後生活設計に必要な金融資産は約2千万円

金融庁は、人生100年時代を見据えた資産形成を促す報告書をまとめた。長寿化によって定年退職後の人生が延びるため、95歳まで生きるには夫婦で約2千万円の金融資産の取り崩しが必要と試算している。公的年金制度に頼った生活設計だけでは資金不足に陥る可能性に触れ、長期・分散型の資産運用の重要性を強調して、計画的な資産運用や退職金の取り崩し方法などを検討するように促している。同時に金融機関に対しても顧客の資産形成を重視したサービスの提供や金融商品の販売手数料の明確化など、顧客本位の業務運営の徹底を求めている。

先進国の中で最も長寿化が進むわが国。現在60歳の25%は95歳まで生きるとの推計がある。即ち、昭和時代から平成時代のように年金給付をベースにして老後生活を営むことが出来なくなった訳である。日本の高齢世帯の資産形成が欧米諸国に比べて遅れている。過去20年間における預金や生命保険など高齢世帯の金融資産の伸び率は、米国が約3倍に対して、日本は横ばいに止まっている。そもそも欧米の年金額が最終所得比の60~70%に対して、日本は30%前後と低い水準にあることが金融資産の伸び率に影響しているのではなかろうか。金融庁が国民に年代に応じた資産形成に向けた「自助の充実」の呼びかけには納得させられる。

ところで家計で最も預金に振り向けられるのはボーナスと退職金である。今年も夏のボーナス・シーズンを迎えた。中小企業のボーナス調査によれば、過去20年間におけるボーナスを支給した企業比率は、最も高いのが1998年の93.8%で、最も低いのが2012年の49.4%だった。昨年2018年は約60%まで回復している。まさにアベノミクス経済効果が見受けられる。一方退職金制度のある企業割合は、1992年の92%に対して、2017年度には80.5%まで減少。平均退職給付額もピーク時の3,203万円に対して、1,997万円と1千万円以上減少している。退職金に関しては、まさに失われた20年そのものである。

さて、政府は社会保障制度改革の一環として「生涯現役社会」を掲げている。高齢でも意欲さえあれば働ける社会にするため、政府の未来投資会議で70歳雇用継続を企業に努力義務として課す案を提示した。2013年の高年齢者雇用安定法での65歳まで希望者全員の義務付けを更に延長しようとしている。また国家公務員の60歳定年制も段階的に延長することで、民間にも広げる狙いだ。因みに欧米各国公務員の定年は、米国・英国には定年制度そのものがなく、独国・仏国では定年65歳から67歳に伸ばそうとしている。わが国も遅ればせながら将来の高齢者就業に配慮した終身雇用制度にシフト変換するといった時代を迎えたのだろうか。ただ、かかる時代の変化に対する財界や企業側の対応が注目される。


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