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2018年10月29日 野生鳥獣を「マイナス」の存在から「プラス」へ

全国の農山村では、各地の特色を活かし、関係者が一体となって様々な取り組みを進め、地域を活性化させている事例が増えてきている。しかし、そうした中で、大きな課題となっているのが野生鳥獣による被害だ。

農林水産省が公表した平成29年度の全国の野生鳥獣による農作物被害状況によると、被害金額は約164億円、被害面積は約5万3000㏊、被害量は約47万4000tとなっている。いずれも前年度と比較すると減少しているが、未だ各地で深刻な問題となっている。

また、鳥獣被害は経済的なものだけでなく、営農意欲の減退、耕作放棄・離農の増加、さらには森林の下層植生の消失等による土壌流出、希少植物の食害、車両との衝突事故等の被害ももたらしており、被害額として数字に表れる以上に農山漁村に深刻な影響を及ぼしている。このため、捕獲の強化に向けた取り組みや必要な施設の整備等を推進することが求められている。

こうした中、近年、効果的・効率的に鳥獣被害を防止する観点から、ICT等を活用した捕獲機材など、新たな技術が開発されている。例えば、「遠隔監視・操作システム」では、パソコンやスマートフォンで遠隔地から現場の映像を確認しながら無線で捕獲装置を操作することができる。映像の録画も可能で、遠隔操作で鳥獣の獣種・個数を確認し、確実に捕獲することができる。「個体数、獣種判別システム」では、罠に入った頭数や獣種をセンサーで判別し、扉やネットなどを落下させるための電子制御装置と併用することで、省力的・効果的な捕獲を可能とする。人が監視する労力が省け、狙った獲物だけを捕獲することで作業効率を向上させることができる。

また、捕獲した野生鳥獣を地域資源としてとらえ、ジビエとして利活用する取り組みが広がっている。

農林水産省が公表した平成28年の取組状況によると、全国の563処理加工施設で、ジビエとして利用するために解体された野生鳥獣は8万9230頭・羽となっている。このうち、約9割をシカとイノシシが占めているが、その捕獲頭数に比べると、ジビエ利用率は7%程度に留まっている。

捕獲鳥獣のジビエ利用は大きな可能性を秘めていることから年々注目度や期待が高まっている。政府でも、外食や小売等を始め、農泊・観光や学校給食、さらにはペットフードなど、様々な分野で利用拡大が図られるよう、全力を挙げて取り組みを進めていくことが示されている。


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