2018年9月26日 WHILL、MaaS事業に本格参入 空港や駅、商業施設でシェア 50億円を調達

パーソナルモビリティを手掛けるスタートアップのWHILLが18日、SBIインベストメントや大和証券グループなどから約50億円の資金を調達したと発表した。

海外での販売をさらに加速させるほか、新たにMaaS事業(*)の展開にも注力していく方針を打ち出している。「さまざまな場所で、WHILLが自由に走り回るようになり、誰もが好きな時に利用できるようになる」。杉江理CEOは公式サイトにそう記した。「将来的には、公共交通機関などのインフラのように当たり前に利用できるサービスとしたい」。

* MaaS
Mobility as a Service。移動手段の乗り物を買って所有するのではなく、サービスとして利用する形を指す。カーシェアやライドシェアなどが身近でイメージしやすい。自動運転や人工知能(AI)、オープンデータなどをかけ合わせ、従来型の交通・移動手段にシェアリングサービスも統合して次世代のよりスマートな交通システムを生み出そうという動きを言う。

Model C、近く1万台

WHILLは2012年に創業した。ミッションは「すべての人の移動を楽しくスマートにする」。高機能で洗練されたデザインの「WHILL Model A」を2014年に発売。2017年にはよりコンパクトで低価格な「WHILL Model C」を売り出した。

24個の小さなタイヤで構成される前輪や手元のコントローラーなどが特徴。世界最大規模の家電見本市として知られる米国の「CES(Consumer Electronics Show)」では、2018年にBest of Innovation Awardを受賞した。現在は日本、米国、カナダ、英国、イタリアで展開。WHILLの広報によると、「Model A」は既にグローバルで1000台以上を販売した。「Model C」は近い将来の1万台突破を目指している。

「ニーズがあれば介護施設でも」

新たに調達した資金の用途は大きく2つ。1つは海外での販路拡大だ。欧州ではフランスやドイツにも手を伸ばす計画。今年8月にはオランダに新たな拠点を設けた。北米での実績もさらに重ねていく考えだ。

もう1つがMaaS事業。今年度から参入し、ゆくゆくは第2の柱に育てる構想を描いている。空港や駅、ショッピングモール、スポーツ施設などで、長距離の歩行が難しい人にシェアリングで一時利用してもらう形を想定。自動運転・追従走行機能などの実装も、パナソニックなどと協力して研究開発を進めている。利用者を乗せて目的地まで自律走行させる実証実験を、すでに羽田空港などで実施した。使用後は元の待機場所まで自動で戻ってくれるという。車いすを押したり回収したりする職員の負担も大幅に軽減できると見込んでいる。

「ニーズがあれば病院や介護施設でも使って頂きたい」。WHILLの広報はそう話す。道路の規制もありどこまで可能か不透明な部分はあるが、将来的には歩道でのサービスの提供も視野に入れているという。地域で高齢化がさらに進んでいく今後、よりスマートで安全、快適なパーソナルモビリティを確保することは重要な課題だ。テクノロジとアイデア、デザインで道を切り開こうとするWHILLの動きには、今後も大きな期待を持って注目していきたい。


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