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2018年5月14日 自動飛行・即時撮影の超小型観測衛星の将来性

今年2月3日内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられたSS-520 5号機が、最小の軌道ロケットとしてギネス世界記録に認定された。その主要諸元は、全長9.54m、直径(代表径)0.52m、全備重量2.6t、3段式で固体燃料ロケットである。形状が電信柱に似ていることから電柱ロケットとも呼ばれる。プロジェクトマネ-ジャ-は「わが国の科学技術水準の高さと、永年培ってきたロケット開発及び運用の基礎があったからこそ、世界に例のないほどに小さい衛星打ち上げ用ロケットを実現させた」とコメントしている。

今回ギネスに認定されたロケットに搭載された超小型衛星「TRICOM(トリコム)-1R」の話題である。東京大学とJAXAは、地上観測する超小型衛星は独自に飛び方などを判断して撮影を行うという技術を開発した。観測地点に飛来すると地上の方向を見極めて撮影して、管制局地点でデ-タをまとめて転送する。地上からの指令を送る運用上の負担を軽減して、かつ少ない管制局での運用が可能になる画期的な基盤技術である。わが国の得意とする自動制御技術がいかんなく発揮された超小型衛星である。

この超小型衛星トリコム-1Rの主要諸基は、縦横11.6cm、奥行34.6cm、重量3kgで、5つの面にカメラを取り付けて、高度は200km以下の低い軌道で周回する。大型の観測衛星では打ち上げから観測開始まで1カ月以上かかるのに対し、軌道投入から数時間後に撮影デ-タの送信が始められる。この利点は、災害時に衛星を打ち上げてすぐに地上観測を可能にする「即時観測衛星」ともいわれる。愛称は「たすき」と命名された。

さて、「たすき」実験期間は打ち上げから1カ月半で終了した。現在運用している人工衛星周回軌道帯はグラフの示すとおりであるが、「たすき」の200kmという高度が如何に低高度であるかが明瞭である。ただ、宇宙空間とはいえ低高度故、一般に500km以下といわれる大気圏の影響を受けるとともに、この高度帯には宇宙ゴミが最も多く存在する。低高度・超小型衛星の長寿命化と、宇宙ゴミ対策が今後の課題であろう。

 


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