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2018年1月15日 「宵越しの銭」を老後資金として蓄えていた高齢者世帯

「てやんでえ、こちとら江戸っ子だい!宵越しの銭は持たねえや」・・・・落語や時代劇でおなじみの台詞である。当時江戸の街は火事が多く、いつ焼けるか分からない財を積んでも仕方なく、またお金を貯めようにも銀行のような貯蓄機関がなかったことが理由だった。そこでライフプランにおける貯蓄に関する話題である。「統計からみた我が国の高齢者」(総務省の統計資料)によれば、高齢者世帯の貯蓄現在高は1世帯当たり2,394万円。その推移をみると、平成25年、26年と2年連続で増加しているが、27年、28年は2年連続で減少している。特に定期性預貯金の引き出しが目立った。推移のピ-クが平成26年であることは、マイナンバ-制度の発足とマイナス金利といった超低金利に伴い、資産保有残高の大きい高齢者が定期性預貯金からタンス預金へ移したことが推測される。

都内・上野にある某金庫メ-カ-のショ-ル-ムへの来訪者が目に見えて増えている。マイナス金利政策の導入以降、売れ筋の金庫が大型化しているという。同時に、銀行の貸金庫の契約に訪れる高齢者も目立ち、預貯金を現金化しては貸金庫に移すようになったという。銀行口座のマイナンバ-登録が義務付けられると預金残高が把握される。その前の相続税対策であるらしい。実際は銀行口座がマイナンバ-に登録されても預金残高などは把握されないが、漠然とした不安から現金を好む高齢者が多いようだ。金庫の盗難リスクや貸金庫の手数料を度外視してでも手元に現金がある安心感が見て取れる。

一方、ゴミ捨て場などから多額の現金が見つかる事例が各地で相次いでいる。高齢者の孤独死など社会環境の変化が背景にあり、気づかれずに廃棄される現金が今後更に増えるであろう。見つかった札束の帯封の日付が故人の口座から引き出した履歴の一致していることで、拾得者から遺族に返金されたと、いう珍しいケ-スもあるそうだ。

さて、高齢化の進展が進む中で、タンス預金と金庫ブ-ムといった何とも世知辛い世相であるが、孤独死した高齢者の廃棄物から大金が出てくる話には、終末を孤独死で迎えてもなお、「倹約は美徳」とした昭和びとの心意気を称えたい気持ちになるのは筆者だけだろうか。今年最初のFocus執筆にあたり 一句、「世の動き 眼凝らして コラム書く」・・・本年もご笑覧の程よろしくお願い申し上げます。


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