内閣総理大臣が目的をもって解散する「憲法7条解散」。2000年以降、約3年に1回のペ-スで実施されている。総理は麻生首相時代の「追い込まれ解散」での惨敗を回避するため決断したのであろう。同時に、国連安保理が採択した北朝鮮に対する制裁決議の効果が判明する年末前は困難と考えたのではなかろうか。今回の「国難突破」解散時期は、北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射や核実験の脅威から国民の生命と平和な暮らしを守るため、危機管理における絶妙のタイミングであったと思う。

選挙の都度持ち出されるのが「青木の法則」(政権安定指数)だが、今回解散時の内閣支持率50%に、自民党支持率37.7%を加えた合計は87.8%となる。自民党の改選議席数286議席に87.8%を乗じると250.8で、自民党の獲得議席は、単独過半数233議席を超える計算となる。また経験則・デ-タによれば、日経平均株価と失業率が前回選挙より好転していれば与党に有利な結果がでると言われている。政権存続の勝敗ラインをクリアし、自民党にとって有利な選挙戦が予想されていた。

ところが、東京都知事が率いる「希望の党」の結成を契機に、党勢低迷にあえぐ民進党が事実上分裂解党した。希望の獲得議席如何では、自民にとって厳しい選挙も予想される。また希望に排除されたリベラル派が新党を結成したことで、自民に対抗する野党勢力の結集は完全に不発に終わった。「自・公」、「希・維」、「民・共・社」の3極で争う構図で公示日を迎え、12日間の衆院選がスタ-トする。それにしても野党第1党の消滅で、北からの渡り鳥のシ-ズンに先立ち、バッチを求めて飛び交う政党渡り鳥の多さは想定外だった。

さて、立候補者の中には、不倫・暴言暴行・資質と勉強不足からの失言・政治資金等問題議員もいる。選挙ポスタ-の顔写真と学歴・職歴からでは投票の判断はつかない。また不祥事を起こした議員の地元で「投票した市民として恥ずかしい」といった言葉を耳にするが、有権者は、政党の理念と政策、政治家としての資質と覚悟を見極めて、日本の未来を託したいものである。