先月19日、「みちびき」3号基を搭載したH2A大型ロケット35号機は、打ち上げに成功、連続29回とその記録を更新中である。2001年8月29日の試験機1号機の打ち上げから、今年で満16年を迎えた。この間、2003年11月の6号機の失敗会見で、「ロケットの打ち上げは失敗することもある」と釈明して世論のバッシングを受けたこともあった。今や、H2A(含むH2Bの6回)の打ち上げ数41回に対して40回成功、成功率は97.56%と、国際的な信頼性の目安とされる95%を超える水準にある。

宇宙関連産業は、主にロケット開発など「宇宙機器産業」と、衛星デ-タ活用など「宇宙利用産業」に区分される。わが国の宇宙開発は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)を中心に国主導で取り組んできた。だが、米国の宇宙往還機スペ-スシャトル計画終了後、米国航空宇宙局(NASA)の機能縮小で多くの研究者や技術者が民間の宇宙ビジネスベンチャ-企業に流れた。わが国でも宇宙活動法の成立により、ロケット開発事業の審査が通れば民間企業でも打ち上げることが可能となった。

実業家堀江貴文氏らが創業したロケットベンチャ-企業は、7月30日小型観測用ロケット「MOMO」(全長9.9m・重量1t)1号機を打ち上げた。飛行中に機体の情報が受信できず海中に落下させた。民間単独の挑戦は失敗に終わったが、今秋にも2号機の打ち上げを計画している。MOMOに先立つこと半年前の1月中旬、量産される民生用電子部品を使った小型ロケットSS-520(全長9.65m・重量2.6t)の初飛行をJAXAが行ったが、機体の温度と姿勢などのデ-タが受信できなくなり海中に落下させた。今のところ小型ロケットの打ち上げは未成功のままである。このSS-520の制御機器を手掛けたキャノン電子は、IHIエアロスペ-スと組んで打ち上げビジネスに参入しようとしている。

さて、今後のロケット打ち上げの国内主戦場は、H2A(全長 53m・重量289t)やH2B(全長56.6m・重量531t)の大型(国主導)から小型(民間主導)へと移ることが予想される。その背景には、民間企業のニ-ズが農地や都市などの画像デ-タにあり、1基数百億円の大型衛星から十億円以下の小型衛星で十分といった需要の変化によるものである。それと同時に、打ち上げ費用(大型ロケットの100億円に対して小型は数億円程度)や、打ち上げスケジュ-ルの自由度(大型は複数の衛星の乗り合いだが、小型は単独のため時間的な制約が少ない)、更には打ち上げ台設備などもある。国主導から民間主導の小型ロケット事業の広がりは、安価な小型衛星の打ち上げ需要を呼び込めるか否かにあり、その動向が注目される。