「2020年で全てが一気に変わるわけではないと思うが、準備・運営を通じて障害者や健常者、高齢者、赤ちゃんを育てている人などが分け隔てなく、より積極的に参加・貢献できる社会を作れれば」

こう語ったのは、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の中南久志パラリンピック統括部長だ。東京ビッグサイトで14日まで開催されていた展示会「国際モダンホスピタルショウ2017」で講演し、障害を持つ選手や観客が直面する課題をひとつひとつクリアしていくことが、国の目指す「共生社会」を実現する近道ではないかと呼びかけている。

東京パラリンピックは2020年の8月25日から9月6日にかけて行われる。組織委によると、約170の国や地域から集まるアスリートはおよそ4500人。このうち1800人が車いすで、上肢や視覚、知能などに重軽の障害を抱えている人も大勢いる。障害を持つ観客も多く来日する見込み。これだけ多くの障害者が首都圏に集結するのは初めてだ。公共交通機関の多くはバリアフリー化されているが、エレベーターが小さいなどその規模には課題が残る。過去の大会でも使われた古い競技会場の中には、そもそもバリアフリー化が不十分なところもある。

組織委は今年3月、国が定めたものより高いバリアフリーの基準を盛り込んだガイドラインを策定。国際パラリンピック委員会(IPC)の承認を得た。より緩やかな傾斜のスロープを設けることや、エレベーター内のスペースを広くとることなどを要請。異性の同伴者も支援に入れる男女共用の多機能トイレを整備したり、選手村のユニバーサルデザインを徹底したりすることも促している。

中南部長はこうした指針について、「スロープやトイレなどは仮設の設置によって対応できるケースもある」と説明。ただ、仮設で済ませると大会が終わったらすぐに撤去されてしまうことから、「できるだけ施設の改修によって基準をクリアできないか、各方面に働きかけている」という。都市の充実したバリアフリー構造を「レガシー」として残したい ー 。そんな思惑を説明し理解を求めた。「スポーツには世界、未来を変える力がある。パラリンピックを大きなきっかけにしたい」と意欲的だ。