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東京大学大学院情報理工学系研究科と九州大学マス・フォア・インダストリ研究所は、NTT㈱と共同で、量子コンピュータでも解読できない新たなデジタル署名技術を開発し、既存の方式と比較して約３分の１まで公開鍵のデータサイズを削減することに成功した。公開鍵はデジタル署名が正しいことを検証するときに用いる鍵のデータとなる。公開鍵のデータを用いて決められた手順で計算することにより、デジタル署名の正当性を検証する
今回開発したデジタル署名技術「ＱＲ－ＵＯＶ署名」は、多変数多項式問題の難しさを安全性の根拠としており、公開鍵と署名のデータサイズが小さいことが特徴。量子コンピュータの時代でも安全かつ効率的な暗号技術として、個人認証やデータ保護などに利活用が可能となります。
この研究成果は、国際暗号学会主催の国際会議「Ａｓｉａｃｒｙｐｔ ２０２１」（１２月６日―１０日 オンライン開催）で発表する。
暗号技術は日常生活のさまざまな場面で利用され、情報社会の安全性を支えるコア技術として重要性を増している。一方で、現在普及している暗号方式では、大規模な量子コンピュータが実現した場合に解読されることが知られている。
このため、将来的に量子コンピュータが大規模化した時代でも安全に利用できる暗号技術として、多変数多項式問題の難しさを安全性の根拠としたＲａｉｎｂｏｗ署名が注目を集めている。Ｒａｉｎｂｏｗ署名はデータの不正な書き換えを検出できるデジタル署名技術だが、その一方で検証の際に使用する公開鍵のデータサイズが大きくなることが問題となっていた。
Ｒａｉｎｂｏｗ署名は１９９９年に提案された安全性の高いＵＯＶ署名をマルチ階層構造として拡張することにより効率化していた。ＵＯＶ署名は１９９９年に提案された多変数多項式問題を基にしたデジタル署名で、２０年以上にわたり本質的な解読法が報告されていない安全な方式とされている。
一方、今回の提案方式であるＱＲ－ＵＯＶ署名は、数値の行列で表現されていたＵＯＶ署名の公開鍵を剰余環といわれる代数系の多項式として表現。安全性を低下させることなく公開鍵のデータサイズ削減を実現した。
実用的に安全性が十分に高いパラメータでＲａｉｎｂｏｗ署名と比較したところ、公開鍵のデータサイズを約６６％削減することが可能となった。具体的には、Ｒａｉｎｂｏｗ署名では２５２．３ＫＢであった公開鍵のデータサイズを、ＱＲ－ＵＯＶ署名では約３分の１となる８５．８KBまで削減することに成功した。
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