2017年6月19日 騒音をめぐる事件が増加 平成28年度公害等調整委員会年次報告

公害等調整委員会はこのほど、平成28年度の所掌事務の処理状況を国会に報告した。それによると、28年度の公害紛争事件の特徴として、28年度継続事件に占める騒音事件の割合が約4割で、受付事件に占める騒音事件の割合は7割を占め増加傾向にあるなど、騒音をめぐる事件が増加している。

公害紛争の処理状況についてみると、28年度に委員会に係属した公害紛争事件は、前年度から繰り越された32件(裁定事件29件(責任裁定事件15件、原因裁定事件14件)、調停事件3件)と、28年度に新たに受け付けた20件(裁定事件16件(責任裁定事件7件、原因裁定事件9件)、調停事件4件)の計52件で引き続き高い水準にある。このうち、31件が28年度中に終結し、残りの21件は29年度に繰り越された。

新たに受け付けた事件の件数は、近年減少傾向を示していたが、28年度は増加している。

これ以外に委員会は、不知火海沿岸での水俣病に係る損害賠償調停申請事件で成立した調停条項に基づき、慰謝料額等変更申請を処理している。

 

近年の特徴と課題

公害紛争の近年の特徴と課題について、いわゆる「典型7公害」(大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下と悪臭)のうち、航空機騒音に関する紛争、幼稚園からの騒音に関する紛争、低周波音に関する紛争など騒音事件の割合が高くなってきている。28年度は、係属事件に占める騒音事件の割合が約4割、受付事件に占める騒音事件の割合が7割であった。

これまでは、調停事件が委員会の各年度の受付件数の大半を占めていたが、近年は裁定事件がその大半を占めており、28年度に委員会に係属した事件52件のうち45件が裁定事件であった。その要因の一つとして、公害紛争処理制度の一層の周知等により、地方公共団体と委員会との連携が図られつつあることをあげている。

さらに、28年度は被害が広範囲に渡るような事件のほか、前年度に引き続き、比較的小規模な事件が多く係属する傾向にあることが特徴の一つとしている。

 

利用促進等のための主な取組

委員会では、近年継続した事件の特徴を踏まえ、公害紛争処理制度の利用の促進等のため、申請人が主張する加害行為と被害との因果関係の解明が困難な紛争について、必要な調査を実施し、事件の迅速かつ適正な処理を図っている。

また、東京から離れた所に在住する当事者の負担軽減を図るため、被害発生地等の現地で審問期日等を開催する取組を推進。28年度は、計5回の現地期日を開催した。

さらに、裁定事件の審理過程で、事実関係や当事者の意向に照らして話合いによる解決の見通しがある場合、職権で調停に移行して合意形成を促し、迅速かつ適正な解決を図っている。28年度に調停成立により解決した裁定事件は4件であった。

このほか、同制度の円滑な運営を図るため、都道府県公害審査会等と、公害紛争処理に関する共通の問題について、情報・意見交換を実施したところである。


株式会社官庁通信社
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-13-14
--総務部--TEL 03-3251-5751 FAX 03-3251-5753
--編集部--TEL 03-3251-5755 FAX 03-3251-5754

Copyright 株式会社官庁通信社 All Rights Reserved.