2019年1月31日 駆除による根絶は全国で初 環境省 「オンネトー湯の滝」の外来魚を根絶

環境省、足寄町教育委員会等は、平成11年度以降、阿寒摩周国立公園特別保護地区内の国指定天然記念物「オンネトー湯の滝」(足寄郡足寄町)に定着した外来魚(ナイルティラピアとグッピー)の駆除対策に取り組んできたところで、22日に開催された「平成30年度オンネトー湯の滝における外来魚駆除対策に係る評価会」で、これら外来魚の「根絶」が有識者等により確認された。野外に定着したナイルティアピアとグッピーを駆除により根絶させた事例は全国で初めてとなる。

オンネトー湯の滝は、雌阿寒岳西麓の原生林内に位置し、温泉水による高さ20数メートルの2条の滝からなるもので、古くから阿寒摩周国立公園を代表する景勝地であり、特別保護地区に指定されている。

また、温泉水にはマンガンイオンが含まれており、藻類と細菌の相互作用によるマンガン鉱物の生成現象がみられる。地上で観察できるものとしては世界最大級の規模であり、国指定天然記念物にも指定されている。

昭和60年代以降、滝下の湯だまり等で熱帯性外来魚(ナイルティラピアやグッピー)が放たれた。しかし、これらの外来魚はマンガン鉱物生成に必要な藻類等を食べて繁殖し、藻類の急激な減少を引き起こした。

このため、足寄町教育委員会、足寄町と(特非)あしょろ観光協会は、平成11年度から漁網や電気ショッカー等を用いた駆除対策を開始。18年度からは環境省も駆除対策に加わった。

環境省は、駆除対策強化のため、23年度に有識者や関係者による「オンネトー湯の滝における外来魚駆除対策に係る評価会」(以下、「評価会」)を設置。評価会での議論を踏まえ、「阿寒国立公園オンネトー湯の滝生態系維持回復事業計画」を策定(25年3月策定、29年3月再策定)し、駆除対策を継続している。

この事業では、外来魚の生活水温が概ね16℃以上であることを踏まえ、湯だまり等に流入する温泉水を迂回させつつ沢水(冷水)を引込む配水管を設置。その結果、水温低下に成功し、外来魚は大幅に減少。ピーク時(21年度)は1万5千匹以上が確認されたが、その後年々減少し、29年度以降は確認されなかった。

28年度の評価会では、外来魚根絶の判断基準として、第1段階では「生息調査の結果として、3回連続で確認数・捕獲数が0匹であること」、第2段階では「第1段階達成の翌年にも再確認・捕獲がないこと」と設定された。

ナイルティラピア、グッピーともに平成29年度末までに第1段階を達成。また、平成30年10月までの調査結果において、再確認・捕獲はなかった。

これを踏まえ、22日の評価会で第2段階の達成、即ちオンネトー湯の滝における外来魚の根絶が確認された。環境省が確認している中で、野外に定着したナイルティラピアとグッピーを駆除事業により根絶させた事例は全国で初めてとなる。

今後は、評価会での議論を踏まえ、敵綱時期に配水管を撤去する。また、関係機関との連携による藻類・細菌等の生育状況モニタリングと再発防止策の実施等について検討する。


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