2018年4月11日 食料品アクセス問題に関するアンケート 調査結果を公表、高齢化や小売業の衰退などが背景に

農林水産省は、平成29年11月に全国の市町村を対象に実施した「食料品アクセス問題」に関する全国市町村アンケート調査の結果を公表した。

それによると、回答市町村のうち、約8割にあたる964市町村が何らかの対策が必要と回答しており、その背景として「住民の高齢化」や「地元小売業の廃業」、「中心市街地の衰退」をあげる市町村の割合が高い傾向がみられた。

また、対策を必要とする市町村のうち、594市町村で何らかの対策を実施しており、実施率は61.6%と前年より0.6ポイント上昇している。その内容については、「コミュニティバス・乗合タクシーの運行等への支援」が最も高く、「移動販売車の導入・運営に対する支援」が増加傾向にある。一方、対策の実施・検討ができていない理由については「どのような対策を実施すべきかわからない」、「財政上の問題からできない」をあげる市町村が一定数存在していることが分かった。

対策の手法については、「民間事業者等への費用補助や助成等の支援」、「民間事業者への業務運営委託」が高い傾向にある。対策によりカバーできている割合は「30~60%程度」と答えた市町村が約半数だった。また、対策を実施している市町村のうち、他部局等と「情報共有している」割合は43.9%で増加傾向にある一方、「連携も情報共有もしていない」割合は32.7%で減少傾向にある。

さらに、対策を必要とする市町村のうち、民間事業者が参入している市町村は65.4%で、近年では増加傾向で推移している。その実施内容については、「宅配、御用聞き、買い物代行サービス等」への参入が67.9%で最も多いが、「移動販売車の導入・運営」のみ増加傾向で、そのほかは全体的に減少傾向にある。また、民間事業者の組織は「株式会社などの営利団体」や「生協や協同組合など」の割合が高い。市町村または民間事業者のいずれかで対策が実施されている割合は86.2%で前年より3.4ポイント上昇している。

 

調査の目的と方法

近年、食料品店の減少や大型商業施設の郊外化等に伴い、過疎地域のみならず都市部でも高齢者を中心に食料品の購入に困難を感じる消費者が増えてきており、食料品の円滑な供給に支障が生じる等の「食料品アクセス問題」が顕在化している。

この問題の解決には、基本的には民間事業者や地域住民のネットワーク等による継続的な取り組みが重要となるが、今後、本格的な高齢社会を迎えるに当たって、食料の安定的な供給や地域コミュニティの維持等の観点から住民に最も身近な地方公共団体に加えて、国でも関係府省が連携して取り組んでいくことが重要となる。

農林水産省では、この問題の現状分析の一環として、全国の市町村を対象に、食料品の購入に困難を感じている住民への対策に関するアンケート調査を実施し、各地方自治体等の抱える課題や対策の状況を把握し、今後の施策の参考として活用している。

平成29年度の調査については、11月9日から12月9日にかけて、東京都特別区を含む全国の1741市町村を対象に実施されたが、有効回答数は1175市町村で、回答率は67.5%となっている。


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