2016年10月6日 食料品の買い物に3割が「不便」 店の立地や時間的な余裕の無さが理由、農水省

農林水産省は、平成28年度農林水産情報交流ネットワーク事業の全国調査として実施した、「食料品アクセス(買い物弱者等)問題に関する意識・意向調査の結果を公表した。今回の調査では、事業の生産者モニター(農業者モニター、林業者モニター、漁業者モニター)1579人、消費者モニター937人の計2516人の ▽普段の食料品の買い物 ▽食事の準備 ▽食事内容 ▽地域のサークル活動等への参加や健康 ― といった項目ごとに現在の状況がとりまとめられている。

近年、高齢者や単身世帯の増加、身近な小売店の閉店を背景に、日常的な食料品の買い物に不便や苦労を感じる消費者が増加するといった、いわゆる〝買い物弱者〟が顕在化しつつある。食料品は栄養摂取を通じて身体の維持に不可欠であり、国民が健康で豊かな食生活を送るためには、家庭レベルでも安定的な食料供給が求められる。

今回の調査は、こうした背景を踏まえ、消費者の買い物や食生活に関する意識、意向を的確に把握し、今後の施策の企画・立案の参考とすることを目的に実施された。6月上旬から下旬までの期間に、食料品の買い物に関する意識・意向、食事の準備、食事内容に関する状況等が調べられた。

 

普段の食料品の買い物 ― 3割が「不便や苦労」等と回答

調査対象者に対し、お店に出向いて食料品の買い物をする頻度について聞いたところ、「3~4日に1回」と回答した割合が45.5%と最も高かった。次いで「2日に1回」が23.6%、「ほとんど毎日」が18.7%で続いている。

食料品の買い物で最もよく利用する交通手段(最もよく利用するお店に行く場合)については、76.6%が「自分が運転する自動車・バイク」と回答しており、最も多くの割合を占めた。次いで「徒歩または自転車」が12.1%、「家族・知り合いが運転する自動車」が10.6%で続いている。

食料品の買い物で最もよく利用するお店までの片道の所要時間(最もよく利用する交通手段で行く場合)については、「5分以上10分未満」と答えた割合が36.2%で最も高かった。次いで「10分以上15分未満」が26.8%、「5分未満」が13.2%で続いた。

食料品の買い物で不便や苦労があるかについては、56.1%が「不便や苦労はあまりない」と回答し、最も大きな割合を占めた。また、16.8%が「不便や苦労は全くない」と答えている。一方、20.2%が「不便や苦労を感じることがある」、6.5%が「不便や苦労がある」と回答している。

食料品の買い物で不便や苦労があると回答した者(不便や苦労を感じることがあると回答した者も含む)が感じる不便や苦労としては、「店がもっと近くにあって欲しい」と回答した割合が54.1%で最も高くなった。次いで「買い物に行く時間的余裕がない」が48.4%、「食料品の値段が高い」が34.1%で続いている。また、不便や苦労をなくすために希望することとしては、51.7%が「近くに新たな店ができること」と答え、最も大きな割合を占めた。このほか、「地元の商店をもりたてること」が31.6%、「宅配サービス(生協やネットスーパーなど)・買い物代行の充実」が27.3%で続いており、これらに対する高い要望が浮き彫りとなった。

現在、家庭で利用している買い物サービスについては、58.5%が「買い物サービスは利用していない」と回答し、最も大きな割合を占めた。一方、33.0%が「宅配サービス」と答えたほか、「お弁当の宅配や飲食店の出前(インターネットでの注文も含む)」、「移動販売車」を利用しているという回答もそれぞれ6.2%となっている。

 

食事の準備 ― 夕食の準備で生鮮 調理は「ほとんど毎日」が8割

調査対象者に、夕食の準備における調理・利用・購入の頻度を聞いたところ、肉や魚、野菜などの生鮮食品などの食材の調理については、「ほとんど毎日」と回答した割合が83.2%と最も高かった。次いで「2日に1回」が10.3%、「1週間に1~2回」が5.4%、「ほとんどない」が0.8%で続いている。

冷凍食品やレトルト製品などの加工食品の利用については、「1週間に1~2回」と回答した割合が47.7%と最も高く、次いで「ほとんどない」が27.1%、「2日に1回」が16.3%、「ほとんど毎日」が6.9%で続いている。

コロッケなど調理済み食品等のお惣菜の購入については、54.5%が「1週間に1~2回」と回答しており、最も大きな割合を占めた。次いで「ほとんどない」が31.4%、「2日に1回」が9.3%、「ほとんど毎日」が2.6%で続いている。

お弁当の購入については、「ほとんどない」と回答した割合が81.2%で最も高かった。次いで13.8%が「1週間に1~2回」を占めたほか、「ほとんど毎日」、「2日に1回」と答えた割合がともに1.2%となった。

外食の利用については、76.8%と最も高い割合が「ほとんどない」と回答した。次いで「1週間に1~2回」が19.8%、「2日に1回」が0.5%、「ほとんど毎日」が0.4%で続いている。

夕食の支度にかける時間については、「30分以上40分未満」と回答した割合が38.9%で最も高かった。次いで28.2%が「20分以上30分未満」、26.6%が「40分以上」と回答している。

 

食事内容 ― 食品の摂取頻度、ほとんど毎日」、ごはんでは9割

各食品の摂取頻度については、「ほとんど毎日」との回答割合が最も高かった食品は、ごはん(96.4%)、牛乳(47.3%)、卵(40.3%)、緑黄色野菜(63.0%)、大豆・大豆製品(38.0%)、油脂類(34.2%)、菓子類(31.5%)だった。

また、「2日に1回」の割合が最も高かった食品は、魚介類(40.4%)、肉類(46.6%)、「1週間に1~2回」の割合が最も高かった食品は、パン(37.8%)、めん類(74.5%)、いも類(56.3%)、海藻類(49.0%)、果物類(38.9%)、「ほとんど食べない(飲まない)」の割合が最も高かった食品は、アルコール類(39.9%)だった。

普段夕食を誰かと一緒に食べるかどうかについては、「誰かと一緒に」と回答した割合が83.7%と最も高く、次いで「どちらかというと誰かと」が6.2%、「どちらかというと1人で」が5.0%、「1人で」が4.3%で続いている。


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