2017年8月22日 防災・減災対策等の推進 平成30年度各省庁営繕計画書に関する意見書

石井啓一国土交通大臣は18日、各省庁の長と財務大臣あてに、平成30年度各省庁営繕計画書に関する意見書を送付した。意見書では、総括意見として官庁施設整備等の基本的考え方や社会的要請を述べた上で、平成30年度各省各庁営繕計画書(営繕計画を実施するための所要経費総額は約4000億円)に対して個別意見を述べている。また、社会的要請に対応する官庁施設の整備等の課題として、防災・減災対策の推進、長寿命化の推進、地域社会との連携の推進、環境負荷低減への取組、木材の利用の促進をあげている。

総括意見では官庁施設の現状(今年3月国土交通省調べ)について、官庁施設の施設数は1万2642施設(延べ約4787万5000平方メートル)となっている。このうち、官公庁施設の建設等に関する法律第2条の「庁舎」に該当する施設は、7643施設(延べ約1919万4000平方メートル)で全体の約60.5%(面積では約40.1%)を占めている。

経年別の延べ面積割合では、築後30年以上が全体の43.8%であった。

保全状況が良好な施設の割合(総評点80点以上)は、27年度では63.6%であったものが、28年度には75.4%まで増加している。

 

社会的要請に対応する官庁施設整備

社会的要請に対応する官庁施設の整備等では、発注者は適正な利潤の確保が可能となる予定価格の適正な設定、計画的な発注、適切な工期設定、適切な設計変更、発注者間の連携の推進等が必要とし、各省庁は、予定価格の適正な設定に必要な予算の確保、必要に応じ適切な工期設定のための国庫債務負担行為の活用等が必要としている。また、発注者の役割を理解し、適切にその役割を果たしていくことを求めた。

防災・減災対策の推進においては、災害応急対策活動に必要な官庁施設については、耐震安全性の確保等により防災機能強化を図るほか、防災関係機関が初動期において緊密な連携によりその機能を総合的に発揮できるよう、立地の集約化その他の広域防災拠点機能の強化を求めた。また、官庁施設の津波対策を総合的かつ効果的に推進することが必要としたほか、発災時における官庁施設の執務スペースや電力・給排水等の機関設備機能など、施設機能の確保が重要としている。

長寿命化の推進においては、官庁施設の個別施設計画を構成する「中長期保全計画」と「保全台帳」を作成して適切に保全を実施することで、より一層の長寿命化を図る必要があるとした。また、既存官庁施設をより長く安全に使用し、徹底利活用するため、トータルコストの縮減等を図りつつ、老朽化対策を計画的かつ効率的に推進するよう求めた。

地域社会との連携の推進においては、官庁施設は地域の防災拠点となることに加え、地域の交流拠点となる場合もあることを踏まえ、地方公共団体、関係機関と連携し、地域防災や街づくりに貢献するような官庁施設の整備に留意する必要があると指摘している。

環境負荷低減への取組においては、環境負荷の低減と周辺環境の保全に配慮した整備を推進するほか、温室効果ガス排出量削減の観点から、省エネルギー化や再生可能エネルギーの活用を図る必要があるとした。

木材利用の促進においては、官庁施設の整備に当たって、木材利用を促進するとともに、CLT等の新たな木質部材の活用に取り組む必要があるとしている。


株式会社官庁通信社
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-13-14
--総務部--TEL 03-3251-5751 FAX 03-3251-5753
--編集部--TEL 03-3251-5755 FAX 03-3251-5754

Copyright 株式会社官庁通信社 All Rights Reserved.