2020年4月17日 阪大、フェイスガードの製作データを公開 3Dプリンターとクリアファイルで

世界的な新型コロナウイルスの蔓延により、医療物資が不足する中、大阪大学大学院医学系研究科の中島清一特任教授らはこのたび、世界で初めてクリアファイルをシールドに使う、非常に安価なフェイスシールドの開発に成功した。専用のウェブサイトにおいて、フレームのデータを無料で公開。英語で説明する解説動画もアップしている。

発表したフェイスガードのデータは、福井県鯖江市に本拠を構えるメガネフレームの世界的メーカー「シャルマン」と連携して開発したもの。公開したデータは、スタンダードタイプ、顔が小さい人や子供向けのスモールタイプ、簡易版クリップ脱着式の3種類だ。

研究グループは、今回の研究成果が、感染の深刻なヨーロッパや、今後急速な感染の拡大が懸念されるアフリカ諸国の医療現場において、医療従事者を感染から守るうえでおおいに役立つものになることが期待できると説明。研究を主導した中島特任教授は、「ヨーロッパのドクター仲間たちが、さかんにコロナ対策品のアイデアを発表したり情報交換したりするなかで、自分でも何かできることはないかと考え、得られた成果。柔軟な発想力と、大学で整備してきたバーチャル・エンジニアリングの手法がうまく結合し、結果に繋がったと思う」と述べている。

新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けては、検査や治療にあたる医療従事者が適切に個人防護具を使用することがカギとされている。ところが、想定以上の急速な感染拡大に伴って、世界各地でマスクやフェイスシールド、ガウンといった個人防護具の重要な構成要素が欠乏し始めており、ニューヨーク市では「ゴミ袋をかぶって治療に当たらざるを得ない状況に陥っている」との報道もある。

こうした個人防護具は、これまで緊急調達物資として、国から対象国へ緊急輸出されるなどの対策が取られてきた。しかし、今回の新型コロナウイルス感染症のように、先進国、新興国を問わず、発生がグローバルかつマルチポイントであり、また拡大のスピードが経験したことのないほど急速な場合、緊急の輸出入といった従来式の調達は全く現実的ではない。

そのため、研究グループは「現地にある、ありふれたものを材料に、近年安く性能が良くなった3Dプリンタで印刷できるようにすれば、現地で簡単に調達、製作できるようになり、地球規模での課題解決につながる」という着想のもと、データ開発に乗り出したという。

 


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